奇跡のコンサート、再び
2009年、コソボのミトロヴィッツァ市で開催された「奇跡のコンサート」は、民族の対立を超えた感動的なイベントとして記憶されています。この企画は、国連コソボ暫定行政ミッション(UNMIK)のもとで活躍していた日本人指揮者・栁澤寿男の手により実現しました。今回、彼が率いる「バルカン室内管弦楽団」は、2009年の来日以来、ついに10回目の公演を迎えます。その活動は、戦後80年を迎える日本において、音楽を通じた平和のメッセージを届ける重要な役割を果たしています。
音楽の力で繋がる
この特別な公演は、2025年5月に東京や鎌倉、大田区で行われます。アルバニア、北マケドニア、コソボ、セルビア、ブルガリアからの23名のメンバーが来日し、日本のアーティストたちと息を合わせる合同練習は、すでに始まっています。初日の練習は体育館で行われ、その熱気は窓が曇るほどでした。
参加した日本人アーティストは、異なるバックグラウンドを持つメンバーとの音楽的会話が新鮮で、思わず笑いがこぼれる瞬間も多かったと感想を述べました。音楽を通じて表現される「お腹が空いたな」という感情など、アグレッシブなやり取りは、観客にも自由な感情を伝える力があると感じられました。
プログラムの魅力
今回の公演では、クラシックの名曲に加え、バルカン室内管弦楽団のテーマ曲として知られるコソボ作曲家の独創的な作品や、映画音楽の世界も取り入れた新しい試みが盛り込まれています。全ての日程を楽しんでいただくことで、このオーケストラならではの『音楽の力』を実感していただけることでしょう。
メンバーからのメッセージ
音楽を通じて平和を築くという理念のもと活動するバルカン室内管弦楽団。コソボを代表するバキ・ヤシャリさんは、「今回のプログラムには、愛を持って音楽を通じて世界中の人々にメッセージを届ける意義がある」と述べています。また、コンサートマスターのアナ・イヴァノヴァさんは、「新しいアイデアを仲間たちと交換しながら演奏できることにワクワクしています」と期待を寄せました。さらに、設立メンバーのヴァルボン・ハジベチリさんは、来日公演を10回経験しており、「私たちにとって音楽家でいることが一番大切だ」と話し、音楽の力を再確認しています。
公演情報
バルカン室内管弦楽団のWorld Peace Concertは、2025年5月15日から22日まで、日本各地で開催されます。
- - 5月15日: 東京・杉並公会堂でエジプト風ピアノ協奏曲や運命交響曲を演奏
- - 5月16日: 鎌倉芸術館ではシベリウスやベートーヴェンの名曲を披露
- - 5月21日: めぐろパーシモンホールでの特別演奏会
- - 5月22日: 大田区民ホールでシネマクラシックを楽しむ
全公演において、一般料金は3000円から5000円、高校生以下は1000円で、家族連れでも訪れやすい価格設定が魅力です。公式サイトでの事前予約もお忘れなく。
音楽を通じて社会に貢献するこの素晴らしい機会に、ぜひ足を運んでみてください。音楽の力で繋がる旅を一緒に楽しみましょう!