積水樹脂が実現する新たなRFIDソリューション
積水樹脂株式会社が発表した透明電波吸収ソリューション『DENBOW』は、RFID(Radio Frequency Identification)業界における誤認識の問題を解消するための新たな技術です。2025年4月に発売する予定のウォークスルーゲートシステムは、工場や倉庫などの作業現場での安全性を高めながら、視界を確保する特長を持ちます。
RFID技術とは何か?
RFIDは、電波を利用してタグのデータを非接触で読み込むシステムです。この技術は、バーコードに比べて多くのタグを同時に、さらには離れた距離でも読み取ることができるため、物流や店舗管理の分野で急速に普及しています。しかし、RFID技術には一つ大きな課題が存在します。それは、電波の多重反射が原因で信号が乱れ、タグが誤認識されることです。この問題を解決するために、電波吸収パネルが開発されてきましたが、これまでの製品はすべて不透明であったため、作業者の視界を奪い、監視カメラの死角を生じさせていました。
DENBOWの開発背景
積水樹脂は、2000年代初頭からETC電波吸収体の研究・製造・販売を行っており、その蓄積された技術を活かして研究開発を進めています。特に、東京都市大学との連携により、透明でありながら高い電波吸収性能を持つパネルの開発に成功しました。この技術により、多重反射によるRFIDの誤認識問題を効果的に克服できると同時に、作業環境をより安全に保つことが可能になりました。
ウォークスルーゲートシステムの特長
新たに発売されるウォークスルーゲートシステムは、以下の特長を持っています。
- - フラップ機能: RFIDの読み取りエリアを調整可能なフラップを搭載しており、パネルの角度を自在に変更できるため、読み取りエリアを効果的に制御できます。
- - 移動方向検知機能: ゲートを通過する物品の入荷(IN)と出荷(OUT)を識別する機能が備わっており、これにより一つのゲートで効率的な入出荷作業が実現します。
ウォークスルーゲートシステムの仕様
- - サイズ: L2,800 x W1,400 x H2,050 mm(3スパン)
- - 重量: 160kg(3スパン)
透明電波吸収パネルの仕様
- - 重量: 5.3 kg/㎡
- - 厚み: 5mm
- - 透明性透過率: 68%(HAZE 3%以下)
- - 電波吸収性能: 920MHz付近に約15dBの吸収性能を持つ
今後の展望
積水樹脂は、透明電波吸収パネルを通じてRFID技術の安心・安全な利用をサポートするとともに、今後もお客様からのフィードバックを基に製品の改善を重ねていく計画です。また、電波の「見える化」にも注力し、独自のソリューションを提供していくほか、新しい技術を市場に投入し続ける意向です。
全体を通して、積水樹脂は「社会の景色に、安全と心地よさを。」というスローガンの下、安全で快適な社会の実現に貢献すべく、さらなる技術革新を目指していきます。さらに詳しい情報は、
積水樹脂の公式ページをご覧ください。