自治体防災の現状と未来の挑戦
近年、自然災害の頻発化と激甚化が進むなかで、自治体における防災業務の重要性が高まっています。特に「事前防災」という新たな考え方が注目されていますが、実際には多くの課題が立ちはだかっています。セーフィー株式会社による実態調査によると、自治体職員の多くが防災の重要性を認識しつつも、その実施は思うように進んでいない現状が浮き彫りとなりました。
実態調査から見える防災の現状
この調査は、全国の自治体で防災業務に従事する309名の職員を対象に行われ、特に「事前防災」に対する意識とその実行状況にギャップがあることが明らかになりました。調査によると、実に85.1%の職員が「事前防災」を重要視しているものの、実際に「十分に対策ができている」と答えたのはわずか8.7%でした。このことから、理想と現実の大きな乖離が存在することが判明しました。
ボトルネックは人員不足
調査の結果、自治体の防災対策を進める上での最大のボトルネックは「人員不足」であることがわかりました。この状況下で依然として多くの自治体が「予算不足」を挙げる中で、実は「人手・人員の不足」が52.2%の回答を得ており、非常に深刻な課題となっています。人員が不足していることで、各種防災施策を実行に移すことが困難であり、これが自治体防災力の限界を引き起こしているのです。
ウェアラブルカメラの可能性
しかし、現場には新たな希望の光もあります。それが「ウェアラブルカメラ」です。調査によれば、職員たちは今後実施したい施策の一つとして、ウェアラブルカメラの導入に期待を寄せています。28.8%の職員がこれを挙げ、これまでの「定点観測」から「視界の共有」へとニーズが変化しています。限られた人数で広範囲をカバーするために、多くの眼で状況を把握する手段として、この新たな技術の導入が期待されているのです。
専門家のコメント
内閣官房の防災庁設置準備室の箕打正人氏は、ウェアラブルカメラの活用について次のように述べています。「徹底した事前防災に力をいれていきたい。ウェアラブルカメラを使えば、リアルタイムで情報を共有し、多様なニーズに応じた迅速な対応が可能になる」とのことです。こうした新たなツールを活用することで、自治体の防災力向上が見込まれています。
課題を乗り越えるために
以上のように、自治体防災における最大の課題は「人員不足」でありつつも、ウェアラブルカメラなどの最新技術を活用することで、その問題への解決策が見出せる可能性があります。政府も「骨太の方針2025」において、ハード・ソフト両面からの事前防災推進を掲げており、自主防災の強化と住民への情報提供が求められています。
これからの自治体は、日常的な防犯や管理業務と防災業務をどのようにリンクさせ、効率的に人材を活用していくかが大きな課題となります。市民との連携を深めながら、常に進化する防災におけるデジタルトランスフォーメーションを推進していく必要があるでしょう。これからも、自治体防災の未来を見据えた具体的な取り組みが求められています。