小泉八雲の「怪談」をAIで描く新たなアニメーション
松江出身の文豪、小泉八雲の作品が新たな形で蘇ります。島根県の山陰中央テレビ(TSK)と、アニメ制作会社のDLEが協力し、AI技術を駆使したショートアニメ「小泉八雲のKWAIDAN(怪談)の世界」を制作します。八雲は、明治時代に日本に影響を与えた文学者で、「怪談」をはじめ、数々の作品で知られています。その生涯や作品に触れる機会が増え、多くの人々に再び彼の魅力が伝わるきっかけとなることでしょう。
小泉八雲と松江の関係
八雲は、アイルランド系の父とギリシャ出身の母の間に生まれ、英訳された「古事記」に感銘を受けたことで来日しました。松江には英語教師として赴任し、地元の士族の娘と結婚して日本に帰化。その後、日本文化や風習に深く関わる作家として名を馳せました。今回のアニメは、八雲の作品の中から、日本に伝わる怪異や奇譚を厳選し、約3分のミニ番組として制作されます。その第1話として「耳なし芳一」が放送されるほか、「飴を買う女」や「松江城の怪異」など、松江を舞台にしたエピソードも続々とお楽しみいただける予定です。
AI技術で実現する新たな映像美
今回のプロジェクトで注目されているのは、DLEが新たに導入したAI技術です。同社はこれまで多くのアニメを手がけてきましたが、この夏に設立したOBETA AI STUDIOを使用することで、従来の手法よりも迅速かつ効率的に高品質なコンテンツを制作できるようになりました。AIによる新たな表現力で「怖さ」と「映像美」を同時に楽しむことができる作品が生まれるのです。
今作では、同じシナリオを元に、アニメーションの特徴を活かした2Dスタイルの「アニメルック版」と、リアリズムを追求した「実写ルック版」の2種類が制作・放送されることになっています。この両方を見比べることで、AIとアニメーションの融合した新しい楽しみ方を体験することができます。
期待されるキャストと監督の魅力
アニメの監督には、DLEの社長でもあるFROGMANが務めます。彼は「秘密結社 鷹の爪」のプロデューサーとしても知られており、ユニークな視点で視聴者の心に響く作品を生み出すことに定評があります。また、本作のナビゲーションキャラクター「紺霞」(こんか)のデザインは、松江市出身の漫画家・いずみせらが手がけています。さらに、声の出演として松江観光大使である茶風林や伊藤美紀など、著名な声優たちが参加し、キャラクターたちに命を吹き込む予定です。
地元松江での注目の展開
今年は、八雲の妻である小泉セツを主人公にした連続テレビ小説「ばけばけ」がNHKで放送されることも決定しており、松江と八雲への関心が高まっています。地元TSKとしても、松江の魅力や八雲の作品に触れる良い機会として捉え、この新しい試みに期待が寄せられています。視聴者は、AI技術が創り出す「怖さ」と「美しさ」を存分にお楽しみください。
放送情報
アニメは、TSKさんいん中央テレビで放送されます。アニメルック版が2025年10月2日から毎週木曜日の20:54から放送され、実写ルック版は翌週10月3日から毎週金曜日の24:45に放送されます。小泉八雲の魅力を新たな形で楽しむこの機会をぜひお見逃しなく!