大阪大学とプライバシーテックが共同でAI・データ活用の新たな評価基準を開発

新たなAIとデータ活用評価基準の確立へ



2026年6月4日、大阪大学社会技術共創研究センター(以下、大阪大学ELSIセンター)と株式会社プライバシーテック(東京都渋谷区)が手を組み、企業のAIやデータ活用施策の価値とリスクを客観的に評価するための「VPIAプロセス」に関する共同研究を開始することが発表されました。この研究は、先進的なデータ利用を進めるにあたり、企業が直面する社会的課題を解決するための重要なステップとなるでしょう。

共同研究の背景



AIやパーソナルデータの活用が進む中、企業は法令の遵守には足りているものの、意図せずして利用者が抱える不安や違和感を無視し、炎上事案や事業停止のリスクに直面するケースが増えています。特に「2025年大阪・関西万博」では、「いのちをつなぐ」をテーマに、データを通じた価値創造を共通理念として採用し、個人と社会への影響を考慮した「データ利活用ガイドライン」を策定しました。このガイドラインに基づいて開発されたのがVPIA(Value and Privacy Impact Assessment)プロセスであり、万博の出展事業者による数々のデータ活用施策が評価されました。

VPIAプロセスでは、事業者が施策の価値とリスクを言語化し、倫理的、法的、社会的観点から評価することが求められます。結果は万博のコミュニケーションサイトで一般公開され、参加者からも好意的な反応を得られています。このプロセスの成功が評価され、企業のAI・データ活用におけるリスクの確認プロセスとして、今後の社会実装に役立つことが期待されています。

VPIAプロセスの概要



従来のVPIAプロセスは、次の三つの段階で構成されています。まず、事業者が自己評価を行い、次に第三者による評価を経て、最終的にその結果を公開するという流れです。しかし、この自己評価の対象案件の選定が課題として残されています。今回の共同研究では、VPIAプロセスを企業内に持続的に定着させるための仕組みの検証が行われます。

共同研究のアプローチ



この共同研究では、VPIAプロセスを以下の4つの段階で評価します:
1. Step0:事業者による対象・非対象案件の選別
2. Step1:自己評価及びPIA報告書の作成
3. Step2:第三者による評価
4. Step3:評価結果の公開

研究成果として、対象案件の初期審査プロセスや企業と第三者のネットワーク化、継続的な運用を実現するためのビジネスプロセスの提言が期待されています。

パイロット参画企業の募集



環境に配慮した施策を導入したい企業が対象に、パイロット参画企業の募集が行われます。このプログラムを通じて、施策の多面的な評価が可能になり、事前にリスクを想定し、運用体制を構築することができます。さらに、第三者の専門家による意見を受けることで、自社施策の客観的なリスク評価が実現します。

今後のスケジュール



本共同研究の開始日である2026年6月4日以降、同年6月下旬から一般社団法人LBMA Japanの会員企業に向けて先行募集が開始され、7月上旬から一般企業向けに募集が行われる予定です。また、研究成果及び初期の参画企業評価の事例は、同年秋頃に公表予定です。

代表者のコメント



株式会社プライバシーテックの代表取締役、山下大介氏は、「AI・データ活用におけるリスクはもはや法令遵守だけで解決できない」と述べ、この共同研究を通じて、より多くの事業者が実行可能な形で社会に貢献できることを目指していると強調しています。同様に、大阪大学ELSIセンターの岸本充生氏も、「利用者のデータを安全に利活用するためのプロセスを策定することには、学術的にも社会的にも意義がある」とコメントしています。

この共同研究を通じて、日本が未来のAIガバナンスの標準を確立できることが期待されています。

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