若手正社員のエンゲージメント低下が示すもの
最近の調査によると、20〜30代の正社員の約6割が「会社への貢献意欲を感じない」と答えています。これは、電気企業や公務員業界が主流だった以前とは大きな変化を示しており、特に「転職が当たり前」とされる風潮が一般化しています。この現象は、企業にとって「人材流出」を防ぐための重要な課題となっています。
調査の背景と目的
株式会社アーバンプランは、20代から30代の正社員を対象に「離職と会社へのエンゲージメントの相関性」に関する調査を行いました。調査は2025年4月16日から17日の2日間にわたって実施され、1,002人の若手社員が参加しました。調査体験を通じて、離職や転職に対する意識の変化やその背景を探ることが目的です。
離職の意識が高まる理由
今回の調査結果によると、若年層の約6割が『転職が増えている』と感じており、離職意識の背景には「職場に対する不満」があると考えられます。特に多くの人が『職場に対する不満(40.0%)』を離職理由として挙げており、次いで『会社への愛着がない(30.0%)』、さらに『人間関係が希薄(25.0%)』と続きます。
この結果は、業務の辛さよりも、職場での人間関係や文化に対する不満が離職の主な理由になっていることを示しています。企業文化や人間関係の重要性が、社員のエンゲージメントに直結しています。
エンゲージメントに影響する要因
調査では、現在勤務する会社へのエンゲージメントの有無について旗印となる質問も行われました。その結果、約6割の参加者が『全く感じない(16.6%)』『あまり感じない(43.2%)』と回答し、組織への帰属意識が低下している実態が明らかになりました。
エンゲージメントの低下をもたらす要因は『給与・待遇(58.6%)』が最も多く、次いで『人間関係(35.1%)』『働き方(32.2%)』『オフィス環境(27.4%)』と続きます。
このことから、社員が求めるのは「実感できる快適さ」であり、理念の整合性よりも、日常体験に基づく満足感が重視されていることが分かります。
働くことに対する価値観の変化
若手社員が「働くこと」をどう捉えているのかも重要なポイントです。エンゲージメントを感じていない層は『生活するためのお金を稼ぐ手段(46.3%)』と考え、逆にエンゲージメントが高い層は『人生を豊かにしてくれるもの(17.6%)』として捉える傾向にあります。この傾向は、自分の存在価値や社会とのつながりを促すものとして、エンゲージメントの高さに寄与していると考えられます。
今後の展望と企業への提言
調査では、約半数の人が『今後、働くことの価値観が変わると思う(46.1%)』と答えており、理由には『出産・子どもができる(20.6%)』や『転職(18.4%)』などのライフイベントが挙がりました。
若手社員のエンゲージメントを向上させるためには、給与や待遇、柔軟な働き方を取り入れる必要があります。理想的な職場環境を整備し、社員が求める価値観に応えることが企業成長のカギと言えるでしょう。オフィス環境の整備は、単なる設備投資を超え、組織文化の向上にもつながる重要な施策です。
まとめ
若手正社員の約6割が自身の会社にエンゲージメントを感じていない現状は、企業にとって危機的な状況でもあります。この調査結果を踏まえ、企業は「働きやすさ」を実現するための柔軟な制度設計に取り組む必要があるでしょう。足元のオフィス環境からの改善が、会社への愛着を高め、結果として社員の定着や企業成長を促すきっかけとなるかもしれません。