デザイン・イネーブルメント
2026-07-22 11:01:11

立命館大学とスパイスファクトリーが進めるデザイン・イネーブルメントの共同研究

立命館大学とスパイスファクトリーの挑戦



スパイスファクトリー株式会社が、立命館大学 デザイン・アート学部と連携し、「Design Enablement(デザイン・イネーブルメント)」に関する共同研究をスタートしました。この取り組みには、教育と人材育成の充実を目的とした協力協定の締結が含まれています。特に重要なのは、スパイスファクトリーの執行役員である本村章氏が、立命館大学 デザイン科学研究所の客員研究員に任命される点です。これにより、実務から得られた知見を基にした実証研究や社会課題に対するデザイン思考が進められます。

背景:デザイン実装力の課題



昨今、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進が求められる中、組織には専門デザイナーの不足という課題が顕在化しています。多くの企業が、デザイン的思考を持たないビジネスサイドの担当者やエンジニアにデザイン判断を任せざるを得ない状況にあります。ここで問われるのは、専門デザイナーの介在を前提にせず、どのようにしてデザインの実装力を組織に広め、持続可能な形で残していくのかということです。最近では、生成AIの普及がもたらしたコスト削減により、可視化やプロトタイピングが身近になっていますが、それに伴い「何を作るか」を考える力がさらに求められるようになっています。

デザイン・イネーブルメントの意義



デザイン・イネーブルメントとは、特定の専門家のみならず、すべての人がデザインに参加できる環境を作り出すことです。その目指すところは、現場のメンバーが何を実現したいかを起点に、持続的にデザイン能力を育てていくことです。デザイン・イネーブルメントにより、組織内の知識が分散し、持続されるプロセスが実現されます。この理念の基本は、プロジェクト終了後に何が組織に残るのかという視点です。

デザイン・イネーブルメントが示す三つの方向性は次の通りです:
1. ひきだす(Pulling): 相手のニーズや関心を対話から引き出し、共に創る。
2. つたえる(Pushing): 知識を講義などで移転する。
3. みせる(Demonstrating): 実践を共有し、知見を伝える。

共同研究の内容



この研究は、地方自治体や企業におけるDX実践において、デザインの知識がどのように分散し、機能しているかを観察・記述することから始まります。具体的には、定性的な事例研究を行い、その中で得られた知見をもとに組織変革や人材開発プログラムの設計にも貢献します。

さらに、得られた研究成果は広く社会へ発信され、公共や行政領域におけるDX実践の共通言語の形成に寄与することが目指されています。スパイスファクトリーの「Design Enablement Forum」では、この研究を通じた知見が発表される予定です。

未来への展望



スパイスファクトリーは、理論と実践を往還しながら社会課題解決を進め、教育や人材育成に貢献していく方針です。立命館大学との連携を通じて、現場におけるデザイン実践のあり方を検討し、デザイン・イネーブルメントの理論をさらに深化させることを目指しています。

関係者からのコメント



スパイスファクトリーの本村章氏は、「専門デザイナーが不足している状況の中で、実際にデザインに関わる判断を担っているのは誰かという問いに向き合う」と述べ、立命館大学との共同研究の意義を強調しています。

一方、八重樫文教授は、「デザイン・イネーブルメントは、組織内にある創造的な力を引き出し、みんなが価値を構想する条件を整える」と語り、実践と理論の融合による社会への貢献を見据えています。

これにより、デザインとDXの新たな展望が開かれることでしょう。そして、社会が求めるデザインの力を育て、持続可能な変革を実現する基盤を築くことが期待されています。


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