18歳の新社会人が抱く"大人"の実感とそのギャップ
2022年4月の民法改正により、成人年齢が18歳に引き下げられました。これにより、高校卒業後すぐに社会に出る新社会人たちは、法的な意味での「大人」としての道を歩むことになります。しかし、それに伴い、法的な成人像と若者自身の実感との間には微妙なギャップが存在することが分かっています。
特に大阪市内での高卒新社会人向け研修「ROOKIE’S CLUB」に参加する18歳から20歳の新社会人156人を対象に実施された調査からは、その実態が浮かび上がっています。
調査の要点
調査結果の一部として、18歳の新社会人の46.2%が「18歳は大人だと思う」と回答する一方、自身が「大人」であると実感しているのは44.9%という結果が出ました。この結果から、法的には成人でも、若者たちの間には「自分はまだ子供かもしれない」という心の内面が見え隠れしています。「自分が大人だと感じた時期」について調査したところ、67.6%が「18歳」と答えましたが、その実際の意識の中には複雑な思いがあることを示しています。
大人の自覚とは?
調査結果によると、18歳での社会人デビューが「大人の自覚」を促す要因であることが分かりました。最も多くの回答が寄せられた「働いて給料をもらった瞬間」には、60.2%が自立した成人を実感したと答えています。しかし、精神的な自立を求める71.7%の人々にとっては、経済的自立という条件が全てではないことも明らかです。
また、理想の大人像として「自立していて自身の力で生活できること」を挙げた人が59.6%に達し、自分の力で生活することが、高卒新社会人にとってどれほど強く意識されているかを示しています。
理想と現実のギャップ
実際に社会で働いてみて、自身の理想とする大人像との間に感じるギャップについて尋ねたところ、経済的・時間的な余裕の無さ、精神的未熟、仕事の責任の重さが主な要因として挙げられました。例えば、ある若者は「お金があるほど責任も増える」という現実に戸惑いを感じ、また他の人は「仕事が終わった後に家事をする体力がなくなる」という現実に直面していることが分かりました。
結論
この調査を通して見えてきたのは、法的には成年でも、精神的・経済的に自立できていないと感じている若者の多いことです。企業側はこのことを認識し、18歳での社会人デビューを単なる年齢ではなく、若者が精神的な成長を伴う重要なステップとして捉え、彼らの成長を支援する施策を行う必要があります。
特に、自己の内面に目を向けることで、自立心や責任意識を育む育成プログラムが求められるでしょう。今後の若者たちがしっかりとした大人としての自覚をもって社会に貢献できるよう、より一層の支援が必要です。