ISO認証返上のリスクと影響を見極めるための重要な視点
ISO認証を取得することは企業にとって品質向上や信頼性の向上につながる重要な施策と考えられていますが、返上を選ぶ企業が増えていることも事実です。NSSスマートコンサルティング株式会社が行った調査では、ISO認証を返上した企業のISO担当者や経営者を対象にその理由や影響について尋ねています。話題は主にコストやリスクに集中しており、多くの企業が返上を決断する際に直面した“見えないリスク”についても掘り下げていきます。
返上に至る背景
調査によると、返上した企業のうち、47.2%がコスト負担を理由に挙げています。その一方で、特に効果を感じられなかった企業も多く、46.8%が期待した効果が得られなかったとのことです。さらに、収益性や経済環境の変化により、取引先や顧客からの認証要請が減少したことも、返上を後押しする要因の一つと考えられています。
認証返上の具体的な理由
1.
コスト負担: 維持コストが負担になり、経営の厳しい時期に見直しを余儀なくされた。
2.
効果の無さ: 認証取得による信頼性向上を感じられず、社内の意義が薄れていった。
3.
外部要請の消失: 取引先からの認証要請が減ったため、維持する必要性を感じなくなった。
多くの企業が3年以上にわたってISO認証を運用してきましたが、最終的にはコスト面での負担が大きくのしかかる結果となります。さらに、社内での意義が感じられなくなってきたことも、返上の決定に至った大きな要因です。
返上後の影響
ISO認証を返上した後、42.2%の企業は特に影響がなかったと答えています。しかし、残りの企業の多くは変化に直面しており、リスクへの危機感が薄れる、競合と差別化できない、などの具体的な影響が出ていることも分かりました。実際に、入札条件の厳しさや信用度の低下に直面することもあったようです。
忘れてはならないリスク
- - 価格交渉: 認証がないことで取引先との価格交渉の際に、不利を受ける可能性が増す。
- - 信用への影響: 顧客からの信用が薄れ、信頼関係の構築に障害が生じる可能性が高まる。
- - 入札条件の変更: 一部の入札に参加できなくなるリスクも伴う。
影響の想定
返上の際、多くの企業は影響を事前に想定したものの、想定外のリスクに直面した企業が46.0%に上っています。これには、業務や取引先への影響を多側面から見極めることの必要性を感じさせる結果です。社内で判断を下すことが多く、外部の専門家との相談が不足している企業も多い中、適切なリスク管理や情報収集の重要性が求められます。
結論
ISO認証の返上は、企業にとって経営上の大きな決断ですが、その結果として発生する可能性のあるリスクや影響を事前にしっかりと評価する必要があります。情報を集め、外部の意見も取り入れることで、ISO認証返上の判断をより確かなものにすることができるでしょう。ISO認証の新規取得・運用のサポートを行っている『ISOプロ』では、こうした企業の意思決定を支援し、経営の安定を図るための有益な情報提供を行っています。