岡山大学が漢方薬を用いた網膜色素変性の新薬開発研究に成功
岡山大学の学術研究院ヘルスシステム統合科学学域で進められている研究が注目を集めています。教授松尾俊彦氏を中心としたチームは、漢方薬由来の成分に神経保護作用があることと、それが網膜色素変性の進行を抑制する可能性があることを示しました。
網膜色素変性とは?
網膜色素変性は、遺伝子異常によって網膜の視細胞が消失する疾患です。この病気は視力の低下を引き起こし、最終的には失明につながる可能性もあります。これまで網膜色素変性の治療法は限られており、患者にとって非常に困難な状況でした。
研究の背景と期待される効果
日本では、西洋薬と漢方薬が同じ法律に基づいて評価され、保険診療や一般薬としての利用が可能です。この特性を活かし、研究チームは網膜変性のモデル動物を使用して、視細胞保護効果が確認された漢方薬由来の植物成分に焦点を当てました。
本研究は、2024年12月6日にスイスの医学専門誌『Frontiers in Medicine』に掲載される予定です。研究チームは漢方薬から新たな有用成分を見つけ出し、新薬の開発へとつなげていくことを目指しています。
共同研究の成果
研究は中国の上海交通大学医学院の劉詩卉博士や、植物学研究者の趙清教授との共同によって進められ、今後の研究展開に対する期待が高まっています。また、薬学部の有機化学の専門家阿部匠講師とも協力し、分子構造の観点からも研究が進行中です。この新たな取り組みは、網膜色素変性だけでなく、他の神経変性疾患への応用も期待されています。
研究者の意見
研究に関与した劉詩卉博士は、「漢方薬の持つ可能性を信じて研究を進めました。漢方薬の成分から新しい治療法が生まれることに大きな期待を寄せています」と話しています。
まとめ
網膜色素変性の治療は難しい課題でありましたが、岡山大学の新たなアプローチが今後の研究や医療に革新をもたらすかもしれません。漢方薬原料からの新薬開発が実現することで、視力に悩まされる多くの人々への希望となることを期待しています。
岡山大学の今後の取り組みから目が離せません。