大阪に新たな風況観測の拠点設立
大阪府柏原市に、JTOWERとメトロウェザーがタッグを組み、世界最大規模となるドップラー・ライダー精度検証センター、通称「柏原精度検証センター」がオープンしました。このセンターでは、メトロウェザーが開発したドップラー・ライダーの精度を検証するための各種設備が整えられ、今後の高精度な風況観測の基盤として機能します。
ドップラー・ライダーの役割と重要性
メトロウェザーが手掛けるドップラー・ライダーは、大気中の微細な塵に赤外線レーザーを照射し、その反射波を受信して風況を観測します。この技術は、最大半径15kmの範囲で三次元的な風況を把握可能であるため、気象予測や防災といった分野での活用が期待されています。特に、NASAや防衛省との共同研究を通じて、その信頼性と有効性が高められることに注力しています。
柏原精度検証センターの設立背景
JTOWERは、全国に7800本以上の通信塔を保有し、これを利用することでインフラシェアリングサービスを展開しています。実際、この通信塔がメトロウェザーのドップラー・ライダー推進に不可欠な設備となり、その結果、柏原市での精度検証センター設立が実現しました。このセンターは、ドップラー・ライダーの設計・開発を行う上で必要不可欠な精度検証を一元的に行う場所として重要な役割を果たします。
精度検証の具体的手法
柏原精度検証センターでは、ドップラー・ライダーの精度確認を行うために、風速・風向の計測システムが導入されます。具体的には、IEC61400-12-1規格に従ったカップ式風速計と高精度な超音波風速計が設置され、これらのデータを基にドップラー・ライダーの観測値の精度を比較検証するプロセスが行われます。これにより、国際的にも通用する高い精度を誇る風況観測が実現します。
今後の展望
メトロウェザーは、2024年3月にNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの支援を受け、ドップラー・ライダーの量産化に向けた取り組みを進めていきます。JTOWERとの協力により、全国の通信塔をフル活用し、さらなる本格的な風況観測体制の強化が期待されています。また、今回の取り組みは、メトロウェザーの体制強化にもつながるでしょう。
ドップラー・ライダーによる精度検証の進展は、極めて重要な社会課題の解決にもつながると考えられ、両社の連携が今後の発展に大きく寄与することが期待されます。安全・安心な社会の実現に向け、これからも挑戦を続けるお二社の動きから目が離せません。