VoxelDance Engineeringが実現する3Dプリンティングの新たな可能性
株式会社システムクリエイトが導入したVoxelDance社のシミュレーションソフトウェア『VoxelDance Engineering (VDE)』が、金属3Dプリントにおけるサポート構造の効率化で高い効果を上げています。最大60%の体積削減を達成し、コストと生産性の両方を向上させるその手法に迫ります。
VoxelDance Engineeringとは
VoxelDance Engineeringは、金属ベースの積層造形プロセスを事前にシミュレートすることができるCAEソフトウェアです。印刷の前段階でプロセスの挙動を予測し、問題を事前に把握することで、最適な部品設計を支援します。従来のソフトウェアとは異なり、GPUを利用した高速処理が特徴であり、印刷時間の短縮にも寄与しています。
課題の背景
金属3Dプリンティングにおいて、サポート構造は重要な役割を果たす一方で、材料の無駄を引き起こす要因ともなります。特に、部品の底面を完全に埋めるためにクローズドインペラに全周囲のサポートを追加した場合、大きな材料ロスが発生し、コストが圧迫されます。したがって、サポートを最小限に抑えて印刷の成功を確保することが求められています。
VDEを活用したプロセスの最適化
プロセス1:初期のサポートール構造の設計
初期段階では、SLA(光造形法)の経験をもとにサポート構造のシミュレーションを行い、必要なサポートのボリュームを検討しました。その結果、大きな変位が発生していた部位に対してサポートを追加する必要があることがわかりました。
プロセス2:サポートの再設計
次に、得られた知見を活用してサポート構造の新たなバージョンを設計。反復シミュレーションを実施し、部品の歪みを許容範囲に収めるための最適化を進めました。Z方向での反りの問題が報告され、50μmを超える反り変位は衝突や造形失敗に繋がるため、特に注意を要しました。
プロセス3:最終デザインの確定
最終設計では、ブレードとの衝突を避けるためのサポート構造を考慮し、新しいサポート位置を決定。シミュレーションでは歪みが許容範囲内であることを確認しつつ、造形物には反りや亀裂が見られない結果が得られました。
結果と今後の展望
プロセス3では、サポートの使用量が従来のフルサポートと比較して最大60%の削減に成功し、コスト削減にも大きく寄与しました。この成功体験を基に、システムクリエイトはVoxelDance製品を導入し、製造業界のさらなる革新に取り組んでいく所存です。
システムクリエイトの紹介
株式会社システムクリエイトは、3Dプリンターや3Dスキャナーの導入からCAD/CAMソフトウェアの提供まで、幅広いソリューションを展開。ものづくり企業への支援を続け、業界の発展に貢献しています。
■ 会社名:株式会社システムクリエイト
■ 代表者:川上正義
■ 設立:1992年6月19日
■ 本社所在地:大阪府東大阪市荒本新町1-20
■ TEL:06-6618-8555
■ FAX:06-6618-8566
■ 事業内容:3Dデジタルツールの販売・サポート、受託造形など
■ HP:www.systemcreate-inc.co.jp