新語・流行語大賞と現代社会のつながり
2025年11月、株式会社応用社会心理学研究所(ASPECT)による調査が話題になりました。この調査は日本に住む約1000人を対象に、新語・流行語大賞にノミネートされた30語に対する認知度や流行を感じる度合いを測定するものでした。流行語と聞くと何か特別な言葉を思い浮かべるかもしれませんが、実際に多くの人が「流行っている」と認める言葉は限られているという結果が示されました。
流行語は実際に流行っているのか?
調査で見えてきたのは、ノミネートされた30語のうち半数以上の人々が流行と感じた言葉は、たったの9語しかなかったということです。具体的には「物価高」や「緊急銃猟/クマ被害」といった言葉が70%以上の認知を得ている一方で、約35%の人が30語のうち半数以上を「知らない」と回答しました。この結果から、多くの流行語が日常生活には浸透しておらず、認知と実際の流行感はかけ離れていることが浮き彫りになりました。
知名度と使用度のギャップ
さらに興味深いことに、調査では「知っているけど流行っていない」という現象や「流行っているが自分は使っていない」という流行語についても言及がありました。たとえば「薬膳」という言葉は、知名度は高いものの実際に使われることは少なく、過去の調査データでは52%ものギャップが存在することが確認されています。一方、「エッホエッホ」については、聴いたことがあっても使い方を知らないという若者が多く、流行感と使用意向が乖離していることが示されました。
コミュニティによる流行語の違い
この調査では性別や世代、メディアの利用状況によっても流行語の意味合いや感じ方に違いが出ることがわかりました。特に「ラブブ」や「チョコミントよりもあ・な・た」など、特定のコミュニティで流行っている言葉もあったといいます。つまり、流行語は単なる流行の反映ではなく、特定の属性や社交圏によって影響を受けているという社会的な側面があります。
流行語は誰のためのものか?
そして、2025年度の流行語大賞に選ばれた「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」と「女性首相」の言葉がどの層で流行したのかを探ると、女性全体では70%以上、特に20代以下の男性からは高い支持を得ていたのです。このように、どの世代や性別でも、「流行っている」と感じる言葉はコミュニティによって異なることが分かりました。
結語
流行語は純粋に言葉としての流行を越え、我々の社会が抱える分断やコミュニティの在り方を映し出しています。時代の変化に伴い、多様な価値観がモザイクのように組み合わさり、情報の受け取り方や流行の感覚も変わってきました。流行語が単なる言葉の流行を示すだけでなく、我々の社会問題や政治的対話の困難さを反映していることを再認識する必要があります。
詳細な調査内容は
こちら。