ウクライナ避難民の母娘が福山で描く新たな日々
ロシアの侵攻が始まってから早くも3年が経ちましたが、戦禍を逃れて広島県福山市に避難したウクライナの母娘、アンナ・セメネンコさんと彼女の二人の娘たちの生活が続いています。彼女たちの姿を通して、戦争の影響を受けた人々の生活や思いを伝えます。
避難の経緯
アンナさんは、美しい東部の町ハルキウで家族4人と共に平穏に暮らしていました。しかし、ロシアの侵攻が始まると、その日常は一変しました。安全な場所を求め、彼女は二人の子どもたちを連れて福山市に避難を決意します。夫のアンドリーさんは原則的に国外に出られず、孤独な選択を強いられました。
「もし子供が怪我をしたり、命を落としてしまったら、自分を責めるだろうと思った」と語るアンナさん。彼女の二人の娘、エヴァちゃんとソフィアちゃんを守るため、恐れと不安を抱えつつも、逃げる決断を下しました。
新しい生活の始まり
福山市に辿り着いてから、アンナさんは当初、避難生活は長くても三カ月続くと想定していました。しかし現実は厳しく、その思いは次第に無情に変わっていきました。夫とは毎日テレビ電話で連絡を取り合い、お互いを励まし合いながら生活を続けています。長女のエヴァちゃんは日本の小学校に進学し、リモート授業も受ける毎日です。
日本での挑戦
アンナさんは日本語の習得にも力を入れ、検定試験を受ける目標を持っています。「日本語を勉強することで、自分の世界が広がります」と語る姿には、明るい未来への期待が伺えます。しかし、避難生活のための支援金が2025年7月に終了することもあり、経済的な不安はつきまといます。
最近では福山市内のレストランで週2回のパートタイムの仕事を始めました。子育てと仕事の両立に取り組む一方で、「早く戦争が終わって、家族を一緒にしたい」という彼女の願いは変わらず、心の中に深く刻み込まれています。
未来への希望
アンナさんと二人の娘は、福山で新たな生活を営む中で、確かに痛ましい過去を背負っていますが、彼らには未来への希望が必要です。日本に来たことによって広がった可能性や、日々の小さな喜びに感謝しながら、彼女たちは明るい未来を信じて生きています。
「この笑顔を守るためにも、戦争が続く限りは戻れない」との彼女の言葉が、いかに多くの避難民が抱える苦悩を物語っています。しかし、彼女たちが新たな環境で見出した未来の希望が、戦争が終結する日を想い描かせるのです。どこにいても、愛する家族との再会を信じて、願い続ける彼女の姿に、多くの人が勇気をもらうことでしょう。