VR空間での対話が変える若者の心
最近、心理的な課題を抱える若者に対する支援の新たな形として注目を集めているのが、仮想現実(VR)技術を用いた匿名対話です。横浜市立大学の研究チームが、NHKのドキュメンタリー番組「プロジェクトエイリアン」に参加した精神疾患を持つ10代の若者3人を対象に行った研究が、その可能性を示しています。
脅威を感じずに心を開く
この研究では、VR空間を活用して、参加者が見た目や先入観に囚われることなく、自らの思いを語り合うことができる「安全な場」が提供されました。その結果、対面での相談が難しい若者たちに対しても、心理的なサポートを届ける新しい手段となる油注された可能性があります。
具体的には、参加者が番組収録の前後でどのような心理的変化を遂げたのかを調査しました。孤独感や抑うつ症状、場所を選ばない新しい友人関係の形成など、多岐にわたる指標が分析され、各参加者の感情の変化が観察されました。
参加者の心理的変化
研究に参加した若者たちは、それぞれ、収録前と後での孤独感、レジリエンス(回復力)、抑うつ症状の変化を体験しました。具体的には、レジリエンスの向上や抑うつ症状の軽減が観察されたうえ、参加者同士での意見交流が進む中で、社会とのつながりを意識する変化も見られました。
また、参加者がVR体験を通じて、少しずつ自己を開示し、他者とのつながりを感じるようになったことが特徴的でした。多くの若者が意識の変化を語っており、対話を通じて新たな希望を感じる瞬間があったと証言しています。
研究の重要性と今後の展望
この研究の意義は大きく、VRを使った匿名対話が、心の病を抱える若者にとって、自己を表現するための支援の新たなアプローチを提示した点です。従来の対面療法が困難な環境であっても、VRによって感情を表現できる可能性が広がりました。
藤田純一医師は、今後の研究においてもVRが持つ可能性を追求していくとの展望を示しています。心理的安全性を高めるための新しいプログラムを開発し、様々な事情から対話を躊躇う若者が参加しやすい場を提供することを目指しています。
まとめ
この結果を基に、VR技術は精神疾患を抱える若者たちにとって、新しい支援方法としての可能性を示しました。今後もさらなる研究が進む中で、より多くの若者に安心して自らの心を開ける場が提供されることを期待したいと思います。皆さまも、気になった方はぜひ「プロジェクトエイリアン」をチェックしてみてください。