新たな時代を切り開く淺沼組の土壁
株式会社淺沼組が開発した「立体木摺土壁」が、2025年のJID AWARDにおいてNEXTAGE部門の金賞を受賞しました。この受賞は、同技術が持つ環境への配慮や独自性が評価された結果だと言えるでしょう。特に、「芋松豊洲千客万来店」に実装されたこの土壁は、ただの建材にとどまらず、地域の文化と風土を表現するものとしても注目されています。
立体木摺土壁の背景
近年、環境問題が叫ばれる中、淺沼組は「人間にも地球にもよい循環を建設できなければ、建設業の未来はない」との信念のもと、循環型のマテリアルや技術の開発に取り組んでいます。2021年に名古屋支店を改装した際、苦労して築き上げた土壁の開発がスタートしました。これは、設計者の木野内剛氏と協力し、古来の技術を応用したものです。土壁を自立させることで、軽量化と施工時間の短縮を実現し、様々な利点が生まれました。
この技術は、建設発生土やおがくずといった自然素材を使用し、低炭素性や資源循環性を考慮したものです。地面からの採取物を有効活用することで、建設時のCO₂排出量の抑制にも貢献しています。
JID AWARDとは
公益社団法人日本インテリアデザイナー協会(JID)が主催するJID AWARDは、日本のインテリアデザインの優れた作品を称える重要な授賞制度です。1958年の設立以来多くの名作が選ばれており、現在はスペース、プロダクト、ネクストエイジに分かれた審査が行われています。特にネクストエイジ部門では、新しい提案や創造力が試されます。
「芋松豊洲千客万来店」の役割
この受賞の背景には、「芋松豊洲千客万来店」が大変重要な役割を果たしています。この店舗は、豊洲市場で地域の食文化を堪能できる場所として建設されました。ここでは、新鮮な地域産野菜を扱いながら、立体木摺土壁という材料を用いることで自然と調和した空間を演出しています。
設計者の木野内氏は、土を主材として使用するという大胆なアイディアを実現し、地域の特性を生かした建築を実現しました。その結果、豊洲市場という商業施設に新たな価値をもたらすことができました。
今後の展開
淺沼組では、立体木摺土壁のさらなる研究を進め、耐火大臣認定取得を視野に入れた開発を行っています。今後の活用が期待されるこの技術は、建設業界だけでなく、人々の住環境に新たな息吹を吹き込む可能性を秘めています。
まとめ
「立体木摺土壁」の金賞受賞は、淺沼組が未来の建設業界に向けた新しい一歩を踏み出す重要な出来事です。地域と共に歩むこの技術は、サステナビリティを考える現代における新しい建材として、多くの人々に受け入れられることでしょう。これからも淺沼組の挑戦に注目していきたいと思います。