薬局業界の未来を探る!全国開業数から読み解くスマート薬局時代
株式会社Reviewが発表した最新レポート「全国薬局開業レポート ver.1」に基づき、2025年上半期の全国薬局開業トレンドを分析しました。このデータは、全国1,254件の新規薬局の開業状況を観察し、医療デジタルトランスフォーメーション(DX)や電子処方箋の普及、在宅医療支援の拡大といった変化を明らかにしています。
全国薬局開業の現状
2025年の1月から6月の期間に、新たに開業した薬局の数は全国で1,254件です。この期間に開業が特に進んだのは、医療モールが併設されたエリアや再開発地域で、都市部では「電子処方箋」や「オンライン服薬指導」が導入された神社型薬局が次々と誕生しています。
一方で地域においては、高齢化の進展に伴い、訪問薬剤管理や地域密着型の薬局が増加中です。頻繁に変わる医療のニーズに応えるため、薬局はただの調剤拠点から、地域の健康を支える「健康ハブ」へ進化しています。
薬局開業ランキングTOP5
以下に、2025年上半期の薬局開業件数上位の都道府県を示します。
1.
東京都 - 163件
2.
大阪府 - 118件
3.
愛知県 - 94件
4.
神奈川県 - 92件
5.
埼玉県 - 74件
これらの地域は、人口集中が高く、医療機関も多いため、医療連携やDX化に適した新しいモデルの薬局が続々と登場しています。
谷間の変化を分析する
東京都では、クリニックや医療モール内に開業した「デジタル対応型薬局」が増えており、2025年には日本調剤が無人受付機や遠隔服薬指導システムを導入予定です。また、大阪府も万博関連の開発が進み、「スマート薬局」が注目を集めています。
愛知県、神奈川県、埼玉県では、郊外に根ざした「かかりつけ薬局」が堅調に開業されており、地域住民の医療ニーズに応えています。このように、開業の背景には立地だけでなく、薬局機能の強化があると言えます。
医療DXの進展と薬局の再定義
電子処方箋の導入率は約8割に達し、薬局は従来の調剤拠点から地域医療・介護・生活の拠点へと変わりつつあります。この変化は、患者さんがより良い医療を受けるための橋渡し役でもあります。
今後の薬局経営においては、次の三つの要素が求められます:
1.
医療連携力
2.
在宅支援力
3.
デジタル対応力
これらを備えた「スマート薬局」が、まさに次世代の医療・薬局モデルとして注目されています。
開業のトレンドと質の変化
薬局の開業件数は、ピークの2021年から減少しています。2023年には3,247件、2024年には2,590件が見込まれ、2025年も上半期で1,254件の開業があり、通年で約2,500件に収束する予想です。この傾向は単なる減少ではなく、業態変更を意味しています。
地域医療への貢献、地域住民に寄り添った「健康相談役」としての役割を果たす薬局が増えています。
まとめ
これからの薬局は、ただの調剤拠点から、地域の健康を支える“相談拠点”に変わりつつあります。地域社会に寄り添う薬局のあり方は、今後さらに多様化し、変化する医療環境において重要な役割を担うでしょう。この変化をしっかりと捉え、地域と人をつないでいく新たな薬局の姿に期待が寄せられます。
データを通じて明らかになる薬局市場のトレンドは、企業や地域の医療支援にも繋がります。このレポートが、薬局業界の未来を考える起点となり、より良い地域医療への一歩となれば幸いです。