中小建設業界の深刻な人材不足とその対策に迫る
近年、建設業界が抱える人材不足問題が深刻化しています。特に中小建設企業では、若手従業員の定着が大きな課題となっています。株式会社澤村は、これに関連する調査を実施しました。その結果、経営者と従業員の間にある意識のギャップや、業界が持つ「3Kイメージ」による人材流出の現実が浮き彫りになりました。
1. 調査の概要と背景
2025年問題を控え、労働人口の減少が進む中、特に建設業界においては若手人材の確保と定着が急務です。株式会社澤村は、経営者501人、従業員507人の合計1,008人を対象に「建設業の人材不足と離職理由」に関する調査を行いました。この調査を通じて、業界全体が直面している問題を明らかにしました。
2. 大きな理由は「3Kイメージ」
調査結果によると、建設業が人手不足である最大の理由は「3K(きつい、汚い、危険)」というイメージに起因しています。経営者と従業員の双方ともに、このイメージを払拭することが人手不足解消に繋がると感じています。
また、給与や待遇面についても両者には意見の食い違いが表れました。従業員の多くは、「給与や待遇が仕事内容に見合わない」という不満を抱えており、経営者の立場とは異なります。このギャップが従業員の離職を加速させている一因と考えられます。
3. 教育や育成環境の不備
さらに、調査では「若手や未経験者の育成環境が整っていない」との意見が多く寄せられました。経営者(26.6%)に対し、従業員は約37.1%がこの問題を意識しており、両者の間に明らかなギャップが存在していることが分かります。このことは、教育係となる従業員が日常業務に追われ、新しい人材の成長に手が回らない現状を示しています。
4. 労働環境とその影響
現場の職場環境も人材不足に影響を与えています。経営者と従業員の双方が「職場環境が快適でない」と感じている割合が2割以上という結果が出ており、この現実が3Kイメージを強化していると考えられます。また、女性が働きやすい環境の整備についても、約3割が「配慮が少ない」と回答しています。
5. 給与に関する認識の違い
給与の改善に取り組む企業は多いものの、実際には経営者と従業員の認識に乖離があります。約70%の経営者が自社の給与水準に納得していると答えた一方で、従業員はその多くが「仕事内容に比べて給与が不足している」と感じています。このことから、双方のコミュニケーション不足が浮き彫りとなりました。
6. 今後の必要な取り組み
離職リスクは高まりつつあり、従業員は「安定した給与」「柔軟な労働時間」「快適な職場環境」を求めています。これに加え、従業員の声を把握する仕組みが不可欠です。経営層は従業員の意見を尊重し、具体的な改善策を講じることが求められています。
7. まとめ
今回の調査結果から、人材不足の根本的な問題が明らかになりました。3Kというイメージの払拭や、給与、条件の見直し、さらには育成環境と職場環境の改善が急務です。この状況を改善するためには、従業員と経営者が共に問題を認識し、対話を重ねることが不可欠です。人材が安心して働き続けられる環境づくりに向けて、業界全体で取り組んでいく必要があります。