林純薬工業が三菱ケミカルと契約を締結
林純薬工業株式会社(本社:大阪市中央区)は、三菱ケミカル株式会社(本社:東京都千代田区)との間で売買契約を締結しました。この契約では、三菱ケミカルが福島県いわき市小名浜工場で運用している電子工業用高純度プロセス薬品の製造設備、特に主に使用されるEL混酸の製造設備が対象です。
契約に従い、同設備は2027年3月まで三菱ケミカルの所有下に置かれ、運用が続けられた後、2027年4月を目途に林純薬工業がこの設備を活用した新たな工場、福島工場を設立し、生産を開始する予定です。この工場は東日本の生産及び物流拠点となり、さらなる市場開拓と事業の拡大を目指します。
契約の詳細
今回の契約により、林純薬工業は以下の製品を扱う製造設備を取得します:
これらのプロセス薬品は、特に半導体製造において不可欠な役割を果たしています。EL混酸の主な用途は、シリコンウエハーのウェットエッチング工程であり、シリコンエッチング液はフッ酸と硝酸を基にしたものが主流です。エッチング対象物に応じて様々な混合比率が求められ、精密な製品作りが要求されるのです。
林純薬工業の歴史と展望
林純薬工業は1904年に化学薬品の販売を開始し、1950年から試薬製造を手掛けるようになりました。1980年代には電子工業用薬品や半導体産業向けの機能性薬品の技術開発へと事業を拡張し、現在では化学・医薬・食品・環境分析・半導体など多岐にわたる分野に対してニーズに応えるメーカーとして確固たる実績を誇ります。
本社所在地は大阪府大阪市中央区で、全国に営業所を展開しています。主な工場として、三重工場、鳥取工場、佐賀工場があり、それぞれが生産・物流業務を担っています。特に、今後新設される福島工場は、東日本での安定した製造ネットワークを築く重要なカギとなるでしょう。
未来への取り組み
電子材料事業は1985年から始まり、デジタル化社会の進展を視野に入れた先進的な取り組みが評価されています。2005年には開発拠点として「テクノセンター」を設立し、半導体や液晶パネルの製造において品質の向上に寄与。今後も市場のニーズを先取りし、生産能力の強化を続けることで、安定したサプライチェーンの構築に努めていくとのことです。
この契約により、林純薬工業は成長戦略を一層加速し、企業としての地位をさらに強固にしていくことでしょう。福島工場の稼働が実現すれば、さらに多くの業界に貢献できることが期待されています。