はじめに
ECサイトの利用が一般的になる中、商品を検索する際の体験は消費者にとって非常に重要な要素となりました。最近、株式会社シナブルが実施した調査によって、ユーザーが公式ECサイトで商品を見つけられない理由やその結果、消費者がどのような行動をとるかについて貴重なデータが得られました。今回は、この調査結果を深掘りし、ECサイト運営における課題について考えます。
調査の概要
調査はECサイトを月1回以上利用する20代から50代の男女1,030名を対象に実施され、検索体験の質が購買意欲に与える影響が明らかにされました。
調査の結果、検索機能の利用は約9割のユーザーによって行われており、特にキーワード検索が最も多く使われていることがわかりました。これは、消費者が目的の商品をスムーズに見つけるために積極的に情報収集を行っていることを示しています。
検索体験の実態
調査結果によると、ユーザーは検索窓を使った検索を最も多く行っていますが、その際に求める結果を得ていないと感じる人も多いことが判明しました。1回の入力で目的の商品にたどり着けたのは、わずか10%未満。残りの約9割は、再度検索を行う必要があると言います。
多くのユーザーが再検索を行う理由としては、「期待した検索結果が出なかった」が56.5%と過半数を占めています。これは、検索機能の精度がユーザーのニーズに合致していない可能性を示唆しています。このように、消費者の期待を裏切る検索結果が続くと、約6割の人が実際に購入を諦めた経験があるとも報告されています。
不満とその影響
検索機能に対する不満は、ユーザーの検索体験に悪影響を及ぼします。「検索結果が多すぎて目当ての商品を探せない」と感じる人が多い一方で、正確な情報が得られないことで、他のECサイトに流れるユーザーも少なくありません。実際、目当ての商品の検索結果が得られない場合、約47.9%が他のECサイトを利用すると回答しています。
企業が求められる対応
この調査からわかるように、ECサイトはユーザーの期待に応えるため、検索機能を強化する必要があります。特に適切な絞り込み機能や、ユーザーが求める情報をもとにしたレコメンド機能の改善が求められています。また、商品が見つからなかった時の代替提案など、検索ユーザーの不満を和らげる機能も重要です。
結論
ECサイトにおける検索体験は、消費者の購買意欲と密接に関連しています。この調査結果を受けて、企業はユーザーの期待に応える検索システムの構築へと向かう必要があるでしょう。消費者が求める情報提供の改善が実現されれば、ECサイトの売上向上にもつながる可能性があります。これからのEC市場において、検索機能の向上がどのような影響をもたらすのか、注目していきたいところです。