摂南大学佐藤准教授、関西支部賞受賞
摂南大学薬学部の医薬品化学研究室に所属する佐藤和之准教授が、公益社団法人有機合成化学協会関西支部の「第22回(2024年度)有機合成化学協会関西支部賞」を受賞しました。この栄誉は、佐藤准教授がいかに独創的な研究を行っているかを示すものです。受賞決定は、2024年の1月29日に大阪科学技術センターで行われたセミナーにて行われました。
受賞研究の内容
今回の受賞研究のテーマは、「ロジウム触媒 C-C 結合形成反応を鍵としたヘテロ環の構築と含フッ素ヘテロ環の薬学的応用」です。これは、新たな医薬品や生物活性物質の合成路を開く研究であり、その成果が広く認められたことを意味しています。
ヘテロ環の重要性
ヘテロ環構造に含まれる窒素や酸素は多くの医薬品や農薬の基盤となり、その合成技術の確立は非常に重要です。また、フッ素化合物は生物活性を大きく向上させるため、創薬において中心的な役割を果たしています。しかし、特定の位置にフッ素を導入する簡易で効果的な方法はこれまで確立されていませんでした。
ロジウム触媒とC-C結合形成反応
佐藤准教授は、ロジウム(Rh)触媒を用いて新しいC-C結合形成反応を開発し、これにより特に医薬品開発が進むことが期待されています。ジエチル亜鉛を用いた反応系で生成されるロジウムヒドリド錯体を利用し、α,β-不飽和カルボニル化合物の合成に成功しました。また、ジメチル亜鉛を使うことで、ロジウムアルキル錯体の生成からホモカップリング反応の実施に成功したことは、Csp3-Csp3カップリング反応における革新を意味します。
今後の展望
佐藤准教授はこの成果が創薬研究にとって新たな道を開くことを期待しており、医薬品開発の基礎研究を超えも展開が見込まれるとしています。また、研究室ではインシリコ技術を用いての新たな医薬品研究も行い、これにより研究の効率化を図っています。
佐藤准教授のメッセージ
受賞の知らせにあたり、佐藤准教授は「有機化学に興味を持つ学生が増えることを願っています。彼らが新しい発見につながれば嬉しいです」と述べています。彼の情熱は、未来の有機化学者を育む鍵となるでしょう。
摂南大学医薬品化学研究室の特徴
摂南大学の薬学部医薬品化学研究室では、有機化学の知識を活かした創薬研究が行われています。生物系の研究とも連携し、新しい生理活性物質を探求しています。また、医薬品開発では活性だけでなく、薬物動態や安全性の観点からも多面的なアプローチを行うことが求められます。今後も有機化学とインシリコ技術の融合により、新たな発見を目指して研究を進めていくことでしょう。