映像作家ジダーノワ アリーナ個展「Fictitious」
2025年に大阪で、映像作家ジダーノワ アリーナの個展「Fictitious」が開催されます。この展覧会は、2月14日から3月13日までの約1か月間、N projectで行われ、彼女が映像表現を通じて探求している忘却と想起についての新たな視点を提示します。
ジダーノワ アリーナについて
ジダーノワ アリーナはロシア・モスクワで生まれましたが、1歳のときに北海道に移り住みました。彼女は京都市立芸術大学の大学院で美術を学び、その後のキャリアで数々の賞を受賞しています。特に、2015年の第2回CAF賞最優秀賞や、2021年の「Kyoto Art for Tomorrow」にて最優秀賞を獲得したことで、彼女の才能が高く評価されています。
現在は京都を拠点にする彼女は、映像作家としてだけでなく、キュレーターとしても活躍しています。リサーチを通じて得た知見をもとに、自らの記憶や他者の語りを素材に、アニメーションや自作の架空言語を用いた映像作品を制作しています。彼女の作品には、忘却と記憶再構築の可能性が色濃く反映されています。
展示作品について
本展では、特に注目すべき作品がいくつか展示されます。代表作である《いまと私、わたしともうひとり》は、忘却によって再構成された人格に焦点を当て、映像として表現しています。この作品では、語り手としての「私」と、忘却によって生まれた別の人格「わたし」が交互に現れ、記憶の錯綜を描写します。観る者は、通常の記憶とは異なる視点から、自己の存在について考えるきっかけを得ることでしょう。
さらに、新作の《Suitcase》では、架空の4つの人格が登場し、スーツケースにそれぞれの「人格」を詰め込み、旅立つ姿が描かれています。この映像もまた、忘却と虚構の間を行き来しつつ、記憶の変化を視覚的に表現しています。
特筆すべきは、これらの作品が「アーカイブ・ドローイング」と呼ばれるアナログなアニメーション技法で制作されている点です。絵が少しずつ変化していく様子は、記憶の曖昧さやストーリーテリングの奥深さを観客に届けます。この技法により、見る人々はより深く、記憶の持つ意味について考えさせられることでしょう。
会期と会場
ジダーノワ アリーナ個展「Fictitious」は、以下の概要で開催されます。
- - 会期: 2025年2月14日(金) - 3月13日(木)
- - 開廊時間: 月-金 10:00-17:00、土 11:00-18:00、日祝休廊
会場は、大阪市北区西天満に位置するN projectです。最寄り駅はJR東西線「大阪天満宮駅」と大阪メトロ谷町線・堺筋線「南森町駅」で、それぞれ徒歩5分の距離にあります。
連動イベント
また、本展に関連するトークイベント「想起と忘却の交差点:アートと認知心理学の境界を超えて」は、2月22日(土)14:00から開催されます。登壇者にはジダーノワ アリーナ自身に加え、認知心理学の専門家である堀田千絵氏が参加します。参加は無料で、事前申し込みが必要なので、興味のある方はぜひお早めにお申込みください。
お問い合わせ
個展やイベントに関する詳細は、N projectの公式ウェブサイトやSNSを通じてご確認いただけます。アートに込められたさまざまな思いを感じつつ、いにしえからの記憶に思いを馳せる貴重な機会となるでしょう。
この展覧会は、アートの持つ力で人々の記憶を再構築する貴重な体験となることは間違いありません。ぜひお見逃しなく!