オランダの映像作家ROSTOの追悼上映が決定!
世界的に評価されているオランダの映像作家ROSTO(ロスト)の遺作である『四つの悪夢』と彼自身のドキュメンタリーが特集上映されることが発表されました。名監督・押井守氏も彼の才能を評価するこの企画、ファンにとって見逃せない貴重な機会です。
ROSTOの創世記と独特なスタイル
ROSTOは1990年代初頭に自らの制作スタジオ“ROSTO A.D’s”を設立し、CFやミュージックビデオの制作に携わりながら短編映画の制作にも力を入れてきました。特に彼の代表作である「(伝説の)アングロビリー・フィーバーソンの興亡」と「ジョナ/トムベリー」は、カンヌ国際映画祭での受賞歴を持ち、世界中の映画祭で高く評価されています。これらの作品は、いずれも彼のミクスドメディア・プロジェクト『Mind My Gap』の一部であり、当時の先駆的な試みにも光を当てていました。
15年かけた傑作『四つの悪夢』
特集上映で話題の『四つの悪夢』は、ROSTOが15年の歳月をかけて完成させた作品です。元々彼はかつて所属していたパンクバンドTHE WRECKERSを“黄泉の国”から呼び戻し、四部作『THEE WRECKERS TETRALOGY』を作成しました。この映像は、彼の独自の世界観と音楽性が融合された作品であり、各短編にはオリジナル楽曲が搭載されています。そのため、ミュージックビデオともいえる形で、視覚と聴覚の両面から楽しむことができます。
追悼の意を込めた上映イベント
ROSTOは2019年に病気により他界しましたが、彼の才能を称えるためのドキュメンタリー『すべてが変わったようで、何も変わっちゃいない』も上映されます。この作品では、ROSTOの共演者や彼に影響を受けた関係者の声が収められており、彼の魅力を知る良い機会となっています。
上映スケジュールと今後の展望
『存在証明』というタイトルのもと、2020年8月16日(土)よりシアター・イメージフォーラムで先行公開され、その後全国に順次拡大される予定です。この特集は、ROSTOの偉業を再評価し、新たな映像体験を観客に提供します。今回の上映を通じて、観客は彼の独特な視点と表現力に触れ、映像芸術の新たな可能性を感じることでしょう。
ROSTOと彼の作品の意義
ROSTOの作品は、単なるアートとしての実体を超え、彼の想像力の中で物語が織りなされていきます。彼の先鋭的な試みを通じて、現代の映像作家たちにも影響を与え続けているのです。彼の業績は決して忘れ去られることはなく、むしろ新しい世代の作家たちがこの影響を受け継いでいくことでしょう。今後も彼の残した足跡は、観客や次世代の作家たちにとって貴重な財産となることでしょう。
ROSTOの深淵なるアートと彼の人生の最後の業績である『四つの悪夢』をぜひご堪能ください。