リースバックの現状と高齢者のニーズ
近年、「リースバック」という不動産取引が関心を集めています。この仕組みは、自宅を売却し、そのまま住み続けることができるサービスなのですが、実態に関する意識調査が行われました。特に、高齢者層において老後資金を確保するための手段として注目されています。
調査の概要
国土交通省の調査によると、リースバックの取引件数は年々増加しています。2016年から2018年にかけて、取引数は266件から920件に増加。高齢者のニーズが高まる中で、リースバックを利用する人が増えていることが窺えます。この背景には、退職後の生活資金の確保があるのでしょう。
そこで、株式会社ワイズワンホームが実施した調査では、東京都と神奈川県の持ち家居住者2,000名以上が対象になりました。調査の結果、リースバックの認知度は62.9%に達していますが、理解度はわずか35.0%に留まったことがわかりました。これにより、リースバックの魅力やリスクが十分に理解されていないことが浮き彫りになっています。
利用意向とニーズ
調査の中で特に興味深いのは、利用意向についての結果です。なんと79.8%が「利用・検討したくない」と回答し、その反面、6割以上が「老後資金の確保」を目的にリースバックを考えていることがわかりました。このギャップが今後の課題です。
実際、リースバックを利用したい理由のトップは「自宅を売ってもそのまま住める」と「生活環境を変えなくて良い」というもので、これらの事情は高齢者にとって非常に重要です。しかし、その裏側にはリースバックに関する理解不足や悪質な業者の存在が横たわっていると考えられます。
リースバックのリスク
整った資金を持つ高齢者にとって、自宅を売却しても賃貸契約を結ぶことで住み続けられるリースバックには、多くのメリットがあります。しかし同時に、注意が必要なリスクも存在します。悪質な業者は、自宅を実際より安く売り叩くことがあります。
また、リースバックの契約が一度成立すると、解約が難しく、クーリングオフが適用されないため、長期的な目線で考えなければならないのです。
まとめ
リースバックは高齢者の老後資金を考える際の一つの選択肢ですが、その利用には十分な理解と注意が必要です。特に、自分の資産を扱う際は、信頼できる不動産会社に相談することが大切です。決して一社の提案だけに頼らず、比較検討を行い、家族とも話し合いながら進めることが重要です。
株式会社ワイズワンホームの山中英紀氏は、リースバックを必ずしも推奨しているわけではありませんが、その仕組みの理解を深めた上で利用を考えることの必要性を訴えています。安心してサポートを受けるために、ぜひ頼りになる専門家に相談してみてはいかがでしょうか。