鹿島が進める画期的な3Dモデル自動生成システム
鹿島建設は、道路橋の床版取替工事に特化した3Dモデル自動生成システムを新たに開発しました。このシステムは、道路の座標や長さ、角度といった数値情報を入力するだけで、プレキャストPC床版の3Dモデルを自動的に生成する能力を持っています。さらに、このモデルは部材同士の干渉を考慮した配置を自動で行い、設計業務の時間を大幅に短縮することができます。この技術の導入により、従来は手作業で行っていた膨大な時間を要する手続きが、わずか10分の1程度にまで短縮されます。
開発の背景と目的
日本の多くの道路橋は、経済成長期に整備されたものが多く、現在では供用開始から50年以上が経過しています。そのため、各地で床版取替工事が進められていますが、手作業での図面作成は非常に時間がかかります。特に長さ500メートルの橋では、約250枚の床版が必要となり、それぞれの形状が異なるため、設計者は膨大な労力を必要としました。このシステムの開発は、こうした課題を解決するために行われたのです。
システムの特徴と成果
今回開発される3Dモデル自動生成システムは、以下の主な機能を備えています:
1.
床版の3Dモデル生成: パラメトリックモデリングが可能な3D-CADソフトを使用し、指定した設計条件や数値情報を元に床版の3Dモデルを生成。数値入力のみでモデル化できるため、効率が飛躍的に向上しました。
2.
配筋モデルの自動生成: 鉄筋の仕様を入力することで、干渉しない配筋の3Dモデルを自動生成します。これにより、手動でのミスを防ぎつつ、設計の精度を向上させます。
3.
図面化・数量算出機能: 床版ごとに2D図面データを出力可能で、数量算出も自動化され、設計者の負担を大幅に軽減します。
加えて、鋼桁の3Dモデル生成も行え、生成した3Dモデルに現況の測量データを取り込むことで設計と現実のずれもすぐに把握できます。これにより、設計の微調整も迅速に行えるのが特長です。
今後の展開と期待
鹿島建設は今後、このシステムをさらに進化させ、複雑な道路線形を持つ橋梁の施工計画に応用していく考えです。また、同社の「スマート床版更新(SDR)システム®」との連携を進め、情報化施工技術の開発に取り組んでいく所存です。このように、今後の展開が非常に楽しみで、技術の進歩が道路橋の施工管理に大きな影響を与えるでしょう。
施工工事の詳細
このシステムは、「阪和自動車道 雄の山第1橋他16橋橋梁更新工事」に適用されています。この工事は、大阪府泉南市から和歌山県和歌山市にかけて行われており、多数の床版取替や耐震補強工事が含まれています。試験的に使用した結果、以前の設計業務にかかっていた時間を10分の1にまで削減し、効率化を実現しました。
このように、鹿島の新技術は、将来的に道路橋の設計業務に革命をもたらす可能性を秘めています。これからも、革新を続ける鹿島の動向に注目が集まります。