BtoB企業における与信管理が営業機会を損失させる実態とは
最近、株式会社ラクーンフィナンシャルによる調査が行われ、BtoB企業の経営者や営業責任者が抱える与信管理の実態とその影響が明らかになりました。約8割の企業が与信判断による営業機会の損失を経験しており、これは新規取引先との商談における「売上の拡大」と「未回収リスクの回避」の両立の難しさを浮き彫りにしています。
調査の背景
企業間取引では、未回収リスクを避けるための与信管理がなぜ必要なのでしょうか。売上を上げるためには、新規顧客の開拓が不可欠ですが、同時にリスクの存在を無視するわけにはいきません。このジレンマが、多くの経営者や営業職にとって課題となっています。
調査概要
今回の調査は2026年6月12日から13日までの2日間にわたり行われ、1,000人のBtoB企業の経営者や営業責任者を対象に、商談機会を失った経験について尋ねられました。調査方法はインターネットを用い、結果が出るまでの透明性が確保されています。詳しい情報はラクーンフィナンシャルのウェブサイトからダウンロード可能です。
与信管理の実態
調査結果によれば、多くの企業が与信管理を「営業部門が兼任している」と回答しています。これは41.7%に達し、経理部門と兼任を含めると全体の約60%が他業務と同時に与信管理を行っていることがわかります。
一方で、審査には長い時間を要します。新規取引先の与信審査に1営業日以内で完了する企業はおおよそ24.3%、それ以上に時間がかかる企業が多く存在することが明らかとなりました。この結果は、営業活動のスピードが求められる中でのボトルネックとなり、他社に契約を奪われる要因と考えられます。
また、与信判断の際に重視される情報は、約51.9%が外部信用情報(帝国データバンクなど)を重視し、次いで決算書が50.0%、商業登記簿謄本が29.1%となっています。信頼できる情報を用いて慎重な与信判断を行うものの、これにかかる時間と労力が原因で、スピード感を欠く結果となっています。
営業機会の損失
調査の結果、約90%の企業が与信判断で新規取引を見送った経験を持つことがわかりました。なかでも『頻繁にある』という回答が15.1%、『たまにある』が43.6%という結果です。このような営業機会の損失は、競合他社への顧客流出を招いたり、営業チームの士気低下を引き起こす要因とされています。
與信に基づく判断がビジネスの成長とは逆行することを示唆しており、いかにしてその管理体制を最適化していくかが喫緊の課題です。
理想的な与信管理体制の必要性
企業が求めるのは、営業機会の損失を防ぎつつ、キャッシュフローを安定させ、未回収や貸倒れリスクの低減を図ることです。理想的な体制を実現するためには、正確で網羅的な信用情報が必要であり、これを取り扱うための迅速な審査が求められています。現状の情報収集の難しさや、審査基準の曖昧さが課題として上がっているため、効率的なシステム導入が重要です。
まとめ
この調査から見えてきたのは、売上拡大とリスク管理の両立の難しさです。BtoB企業においては、与信管理が請求業務を含めて多くの課題を抱えている一方で、テクノロジーの活用やシステム化、専門人材の育成が次なるステップであることが示唆されました。今後、これらの課題解決が進めば、企業の競争力も向上し、より一層の成長が期待できるでしょう。