治療家の職場満足度調査、仕事と報酬のバランスが課題に
株式会社エス・エム・エスが実施した治療家に対する意識調査が注目を浴びています。本調査では、全国の柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、そして治療家を目指す学生に対して、彼らの就業環境や満足度について2,742人からの回答を集めました。
調査の背景
治療関連の職業は一般的に知られているものの、実際の労働環境についての詳細な情報が少ないため、業界としての全体像を捉えるのは難しい状況です。エス・エム・エスは、就業環境の改善を目的に初の大規模調査を実施しました。
調査結果の概要
職場満足度
調査の結果、なんと73.5%の治療家が現在の職場に満足していると回答しています。具体的には、満足している理由として「患者との関係」(92.7%)や「同僚との関係」(81.8%)、「やりがい」(80.3%)が上位を占めており、人間関係が良好であることが満足の要因であることが分かります。
不安要因
一方で、多くの治療家が「年収と仕事内容のバランス」に不満を抱いており、53.5%が「仕事量・内容から考えた年収」に不満を感じています。また、各種手当の充実度、指導方法の一貫性についても改善が必要とされています。
退職の理由として多く挙がったのは「昇進・昇給・給与などの処遇面に不満がある」(39.5%)、次いで「上司との関係に不満がある」(37.4%)、「勤務時間が長い・残業が多い」(36.9%)と続いています。これらは、今後の職場環境改善に向けた重要な指標となるでしょう。
職場選びのポイント
治療家が職場を選ぶ際、最も重視するのは「給与」で63.2%が挙げています。また、「勤務時間・体制」(50.1%)や「職場の雰囲気」(47.3%)も重要な要素です。これらのデータは、職場選びにおける治療家のニーズを反映した結果となっています。
学生の志向
興味深いのは、治療家を目指す学生の希望事業所形態です。78.6%が施術所(整骨院・鍼灸院など)を選択しており、これは、より実践的なスキルを追求したいという傾向を示しています。
学生たちは就職活動において「専門性やスキルを高めて、能力を発揮したい」(61.2%)を最も重要視しており、これは就職後の価値観で「仕事とプライベートを両立させたい」(48.6%)を上回っています。つまり、治療家として成長しつつ、生活面でも安定を求める考えが強いようです。
まとめ
これらの調査結果から、治療家の職場環境に対する満足感が満たされている一方で、給与や職場の待遇に関する不安が依然として存在していることが浮き彫りとなりました。特に、管理者とのコミュニケーションを重視することで、不満を解消し、定着を促進する可能性が示されています。今後、エス・エム・エスではこの調査を基に、治療家の職場環境をより良いものにするための継続的な取り組みを行っていく意向です。