槇原敬之コンサート映像制作の舞台裏
2025年7月9日、東京ガーデンシアターで行われた槇原敬之のコンサート。その模様がWOWOWプラスで独占放送されることになり、その前に制作過程の密着レポートが公開されました。映像制作チームの松井菜穂ディレクターと勝田正志撮影監督の手腕が光るこのコンサートは、特に映像編集に注力がされています。
オフライン編集の工夫
松井は、16人のカメラマンによる16本の映像素材をシンクロさせて、16分割で一度に視聴できるようにする「マルチ編集」を行いました。これは映像編集ソフトによって、最適な場面をつなぎ合わせていく作業です。松井は「他の映像を見ることはしない」と言っており、自らの作品と向き合う姿勢が印象的です。彼女は「世に出ているものが正解で、自分が作るものはまだ世に出ていないもの」と語り、不安を抱かずに創作に集中する重要性を語りました。
ポストプロダクションの作業
完成したラフ映像に対する「カラコレ」や「グレーディング」などの高度な演出が施され、最終的に完成品が作り出されます。このような「ポスプロ」と呼ばれる作業は、映像制作において不可欠な過程です。今回、筆者は特に貴重な経験として、色補正の作業を見学する機会を得ました。そこでは、株式会社ARKの清田直登さんと藤木智次郎さんが、松井と勝田の指示のもとで作業を進めていました。
詳細な指示がもたらす効果
松井は「意味のないカットはない」とし、カットごとに求められるニュアンスを具体的に指示していました。その指示内容は、光の使い方や画面の色調に至るまで、多岐に渡ります。清田さんはこの指示が非常に明確であることから、作業がスムーズに進むと述べています。一般的には、指示が曖昧なことも多く、制作にかかる時間が増えることがありますが、松井の細かい指示があったからこそ、作業に集中できたと言います。
映像の特性とは
松井の映像の特徴は、通常よりも長いカットを使用する点にありました。約1800カットを使ったこのコンサート映像は、観る者に深い印象を与えます。動的にカットを切り替える現代のトレンドとは対照的に、松井のスタイルは、どちらかと言えば舞台芸術に近いものでした。彼女の映像は、出演者一人ひとりの役割をしっかり浮かび上がらせることに重きを置いているのです。
信頼関係の重要性
勝田は非常に経験豊かなカメラマンであり、松井が彼にオーダーすることで安心感を持てると語ります。彼女は「勝田さんがいるからこそ、すべてがうまくいく」と語り、彼への信頼の厚さが伺えます。ふたりの協力があってこそ、素晴らしい映像作品が生まれるのです。
完成に至るまで
最後に、完成した映像を拝見しましたが、その内容は驚くべきものでした。本編もエンドロールもユニークで、視聴者に強い印象を与えるものでした。槇原敬之の魅力を余すところなく伝える演出が随所に施されています。視聴者は、彼が伝えたかったメッセージを理解することができるでしょう。詳細に触れるのは控えますが、視聴後にその驚きを皆さんと共有したいと思います。
このように、映像制作の奥深い世界に触れられる貴重な体験を得たことに感謝しつつ、28日のテレビ放送を楽しみにしたいと思います。