ケラリーノ・サンドロヴィッチ×緒川たまきが贈る再演『ベイジルタウンの女神』
2020年に初演されたケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)と緒川たまきのコラボレーションから誕生したユニット、ケムリ研究室の舞台『ベイジルタウンの女神』が、2025年5月9日に待望の再演を迎えました。新しいキャストを迎え、一部演出が変更され、劇的な進化を遂げたこの作品は、観客の心を掴んで離しません。
物語の舞台とプロット
物語の舞台は、貧困に悩むベイジルタウン。巨大企業ロイド社の社長、マーガレットは、この地域の再開発を目論んでいます。彼女は、かつての小間使いであり現タチアナと呼ばれるソニック社の社長に土地を手に入れるために交渉を試みますが、タチアナは「1ヶ月間無一文で生活できれば、土地を譲る」と賭けを持ちかけます。この賭けを受けたマーガレットは、ハットンと共にベイジルタウンへ向かうことになります。
この街には、個性豊かな乞食たちが集まり、決して裕福ではないですが楽しさに満ちた日々を送っています。マーガレットは彼らと触れ合う中で、彼女の人生に変化が訪れます。
舞台の魅力と演出
再演版では、役者たちが身体を駆使して魅力的な場面転換を見せるだけでなく、カートゥーンアニメの映像を取り入れた新しい演出が加わっています。これにより、舞台上での役者と映像が絶妙に絡み合うことで、視覚的な楽しさが増し、作品全体のクオリティが格段に向上したと評価されています。アニメーションとリアルな演技が融合し、観客を一層引き込む仕掛けが施されています。
登場人物たちの個性は一層鮮明になり、物語は親しみやすくも心温まるものとなっています。ロマンティック・コメディや社会派喜劇の要素を含みつつ、KERAの言葉選びに特有の魅力が振りまかれ、観客に笑いと感動を同時に提供しています。
公演の概要と今後の展望
東京公演は5月18日まで行われ、その後兵庫、久留米、豊橋、新潟と各地を巡る予定です。特に注目すべきは、5月14日に行われるライブ配信で、多くのファンに向けた貴重な機会となります。全景映像とスイッチング映像の2つのスタイルで、劇場に足を運べなかった方々にも、作品の魅力を体感してもらえるチャンスがあります。
公演に際し、ケムリ研究室の二人や出演者たちもコメントを寄せ、観客との一体感や演じる喜びについて語っています。特にKERA自身もこの作品に対する愛情を語り、観客との繋がりの大切さを実感していることが伝わってきます。
ケムリ研究室の未来へ
この再演を経て、今後もKERAと緒川たまきによる素晴らしい作品が生まれることが期待されます。彼らのアートへの情熱と、観客を楽しませる姿勢は、これからも日本の舞台芸術において重要な役割を果たすことでしょう。ぜひ、今後の公演にもご期待ください。