岡山大学と名古屋工業大学が二次元半導体新技術を開発、次世代触媒の可能性を探る

二次元半導体の新展開

2025年に控える新たな研究発表として、岡山大学や名古屋工業大学、名古屋大学、金沢大学、慶應義塾大学の研究者たちが共同で行った研究が注目を集めています。この共同研究は、遷移金属ダイカルコゲナイド（TMDC）という特性を持つ二次元の半導体材料に関するものです。特に、デンドライトと呼ばれるナノスケールのネットワーク構造を合成する技術が確立され、新たな水素発生触媒の可能性を探ることが期待されています。

研究の背景

TMDCは、今後の電子デバイスやエネルギー問題の解決に貢献する可能性を秘めた材料です。その特徴として、原子3つ分の厚さでありながら優れた機械的柔軟性と電気・光学特性を持つことが挙げられます。今回の研究では、これらの特性を活かしつつ、デンドライト構造へと変換する手法が導入されました。

独自のナノリアクタ手法

研究グループは、単層TMDCと成長基板の界面を利用して、ナノスケールのデンドライト構造を合成するユニークな手法を開発しました。このナノリアクタを使用することで、従来の方法では得られなかった新しい構造の合成が可能になり、電気化学機能の向上が期待されています。鈴木弘朗准教授は、「異なるバックグラウンドを持つ研究者と協力することで、新たな発見ができたことを大変嬉しく思います」と語っています。

今後の展望

この研究の成果は、2025年12月に学術雑誌『Small Structures』に掲載される予定です。将来的には、次世代のナノスケール光電子デバイスやエネルギー問題に対しても大きな貢献が期待されています。この技術によって水素発生触媒が貴金属フリーで開発されることで、より持続可能なエネルギー源の実現に一歩近づくことが可能になりそうです。