非日常の出会いの場「Timeleft」
最近、都市部では新しい交流のかたちが注目を集めています。フランス生まれのソーシャルアプリ「Timeleft(タイムレフト)」がその一翼を担っているのです。このアプリは、毎週水曜日に初対面の6名が一緒に食事を通じて実際に会話を交わす体験を提供しています。これにより、都市生活者の新たなつながり方を提案し、参加者にとっての貴重な「非日常の出会い」を実現しています。
「Timeleft」は、全世界で毎週3万人が参加しているディナーデータを基に、参加者の相性をデータでマッチングするのが特徴。事前に実施する性格診断や会話の好みに応じた独自アルゴリズムが、この取り組みを支えています。その結果、自然に会話ができるメンバー同士がグループとして繋がり、スムーズな交流が促進されます。
サービス開始から2024年に日本に上陸し、2025年6月には参加ユーザーは1万人を超えました。我が国の様々なレストランと400件以上の提携を結び、早くも多くの参加者から「緊張せずに楽しく話せた」「毎週水曜が待ち遠しくなった」といったポジティブな声が寄せられています。
現代における孤独の問題
しかし、こうした新しい交流方法が生まれる背景には、深刻な社会問題もあります。NRI(野村総合研究所)の調査によれば、20代から30代の都市部在住者の約半数が「孤独を感じている」と回答しています。このような状況は、日頃の会話のチャンスが減少しているためで、市場では「会話ができない」という現象が深刻視されています。さらに、2025年には米OpenAIとMITメディアラボが発表した研究が、生成AIチャットボットの利用が孤独感を増す可能性を示唆しており、これらの結果がリアルな人間関係の希薄化を助長していることが懸念されています。
このような情勢の中、Timeleftは「予測できないリアルな会話」の価値を再確認させる役割を果たしています。参加者が実際に会って話す機会を提供することで、シンプルながら大きな価値を生む場となっているのです。
豊かな出会いの再発見
Timeleftが目指しているのは、日常生活では出会えない人々との偶然の出会いです。SNSが「自分の興味に合った情報」を届けるのとは対照的に、Timeleftでは異なる背景や価値観を持つ人々が自然に会話し、新たな発見をする場が創造されています。例えば、大手IT企業に勤務する20代の男性と、異業種でフリーランスとして活動する女性が、映画をテーマに盛り上がったという報告もあり、異なる組み合わせから生まれる社会的セレンディピティが支持を集めています。
運営者の思い
Timeleftアジア太平洋地域統括責任者のTu-Han Vincent氏は、「Timeleftによって、日本でも『目的のない出会い』に価値を見出す文化が根付いてきています。恋愛でもビジネスでもない、ただ会話を楽しむという新たなつながりが、今の都市生活に求められています」と語ります。また、同氏は今後も日本市場に合わせたサービス展開を進めていくことを明言しています。
さらなる進化
現在、Timeleftは東京、大阪、名古屋、札幌、横浜の5都市でサービスを展開し続けています。2025年5月からは女性限定の火曜日ディナー、6月からは木曜日の乾杯ナイトもスタート予定で、ますます多様な交流スタイルが提供されることでしょう。AIの発展が進む今日、Timeleftは「人間同士が直接言葉を交わす場」が、都市生活において必要不可欠なインフラになると信じているのです。
Timeleftの基本情報
- - 名称:Timeleft(タイムレフト)
- - 日本展開開始:2024年
- - 日本での登録者数:3万人(2025年6月時点)
- - 内容:毎週水曜日に、初対面の複数人がレストランで食事を共にする体験型ソーシャルサービス
- - 展開エリア:東京、大阪、名古屋、札幌、横浜
- - 主な利用者:都市部在住の男女20〜40代
会社概要
- - 会社名:Timeleft SAS
- - 設立:2020年
- - 代表者:Maxime Barbier
- - URL:Timeleft公式サイト