経営者が直面する事業承継の実態と先送りの理由
M&Aロイヤルアドバイザリー株式会社による最新の調査から、事業承継の現状や経営者が直面する心理的ハードルについて詳しく見ていきましょう。
調査の背景と目的
2026年4月22日から23日までの期間に、50歳から75歳の経営者1,200人を対象に、事業承継に関する検討状況やその先送りの理由を探る調査が行われました。この調査は、中小企業経営者にとって事業承継が存続や雇用、地域経済に与える影響が大きいことを踏まえたものです。
事業承継の重要性
中小企業にとって、事業承継は単に経営者が引退する際の手続き以上の意味を持ちます。それは会社の継続性、従業員の雇用の保証、取引先との関係性の維持といった、企業活動の根幹に深く関わるテーマです。近年では、親族内承継や役員・従業員承継、さらにはM&Aのように外部からの支援を受ける選択肢も広がっています。
先送りの理由
調査結果によると、50代以上の経営者の約6割が具体的な行動を取っていないと回答し、その理由として「まだ時間がある」と考えている人が多かったことが浮き彫りになりました。この認識が、実際の行動を遅らせている要因となっているのです。また、何から始めればいいかわからないという不安も影響していると考えられます。
行動開始時期
事業承継を考え始めるべきタイミングについては、「60代から」と答えた経営者が最も多く、次に「健康や体力に不安を感じたとき」と続きました。しかし、承継プロセスは短期間で完了するものではないため、先延ばしにすると準備不足に陥る危険性があります。特に、親族内承継には後継者の育成や株式承継の準備が必要ですし、M&Aでは買手候補の探索や条件交渉も含まれます。
後継者不在の危機
更に、調査では事業承継が必要だと感じる理由は「後継者がいない」という回答が最も多く寄せられました。これは後継者不在が企業の存続に関わる重大な問題であり、経営者としての責任感が感じられます。また、従業員の雇用を守るためや事業の将来性に不安を感じている経営者も多いことがわかりました。
情報漏洩への不安
また、実際に相談を検討している経営者のうち約70%の人が相談時の情報漏洩に不安を感じており、「取引先との関係が悪化すること」が最も大きな懸念事項であることも明らかになりました。このため、相談をためらう経営者も多いのが現状です。情報管理や経営者と関係者の信頼関係の維持が、今後の重要な課題となります。
まとめ
この調査からは、経営者が事業承継を重要視しながらも行動に移さない状況が浮き彫りになりました。また、「まだ時間がある」といった先送り意識が、将来的なリスクを生むことにもつながりかねません。事業承継やM&Aの円滑な実施のためには、早期に選択肢を整理し、対策を講じることが重要です。今後も経営者の皆様には、将来を見据えた準備を進めていただきたいと思います。