医療・福祉業界のメンタルヘルス問題
2026年8月1日と2日、大阪府枚方市で開催される「第33回日本産業精神保健学会」にて、一般社団法人日本男性看護師會の高橋万由子氏が注目のポスター発表を行います。この発表内容は、医療・福祉業界におけるメンタルヘルスと労災申請の乖離についての分析です。
発表の背景
現在、医療・福祉業界では精神障害に関する労災請求や認定件数が他の業種と比較して最も多くなっていますが、厚生労働省の調査結果によれば、同業界のメンタルヘルスの不調による1ヶ月以上の連続休業者の割合は、全産業の平均と同じ水準にとどまっています。この一方で、退職者の割合は全産業平均の2倍にも達しています。つまり、休職者は多くないのに、退職や労災申請が異常に多いという現象が見られるのです。
この発表では、公的統計をもとに、なぜこの乖離が存在するのかを分析し、医療・福祉業界でのメンタルヘルスの現状を深く考察します。
発表内容の詳細
- - 学会名: 第33回日本産業精神保健学会
- - 大会テーマ: すべての働く人のメンタルヘルスを支える多様性と包摂性のある職場づくりの実現に向けて
- - 日程: 2026年8月1日(土)・2日(日)
- - 会場: 枚方市総合文化芸術センター
- - 演題名: 医療・福祉業界におけるメンタルヘルス休職と精神障害労災申請の乖離に関する分析
- - 発表者: 高橋万由子 (一般社団法人日本男性看護師會 産業ナース部門 部門長)
- - 学会公式サイト: https://jsomh33.com/
発表者の意義
高橋氏は、医療・福祉の現場で働くケア提供者が直面する精神的負担に言及しています。多くの看護師や福祉従事者が「自分が休職することで現場が回らなくなる」との思いから、休むことを躊躇し、結果的に退職に至るケースが多いとされています。「ケアする人がケアされていない」というこの不均衡な状況を、データをもとに視覚化することによって、さらなる産業保健の強化につなげたいと考えているようです。
今後の展望と呼びかけ
一般社団法人日本男性看護師會は「Nursing for Nurses」という理念のもと、看護職やケア従事者の労働環境の改善に向けて努力をしています。今回の発表を足掛かりとして、医療機関や福祉施設への産業保健機能の導入支援を進め、「ケアする人も当たり前にケアされる」社会の実現を目指しています。
登壇者プロフィール
高橋万由子氏は、看護大学を卒業後、看護師・保健師の資格を取得し、大学病院の集中治療室での勤務を経て、産業保健へ転身しました。サービス業やインフラ業界など、さまざまな場面で従業員の健康管理に努め、年間約13,000人の健康診断後のフォローを担当しています。労災防止と治療・仕事の両立支援を通して、全ての人が長く安全に働ける環境を整えていくことに注力しています。
この重要な学会での発表は、業界全体に波及効果が期待されるものです。皆さんもぜひ、今回の発表を通じて医療・福祉業界のメンタルヘルス問題について考える機会にしてみてください。