積水ハウスと東京大学が提案する新しい暮らし方「ソーシャルライフ」の実現に向けて

新たなライフスタイル「ソーシャルライフ」の提案

積水ハウス株式会社と東京大学大学院情報学環は、人生100年時代において新しいライフスタイル「ソーシャルライフ」を提案しています。これは、個人の幸せを出発点に、より良い社会の形成を目指す新たな考え方です。この概念は、人と人、人と社会のつながりを重視し、互いの役に立つことによって幸せを享受し、豊かな暮らしを実現することを目指しています。

共同研究の背景

この研究は、2022年10月より始まりました。少子高齢化や健康寿命の延伸が進む現代、孤独や地域との関係性の希薄化が深刻な課題として浮かび上がっています。こうした中で、より良い「つながり」を生むための仕組みを考えることが求められています。また、社会的つながりが少ないことは死因とも密接な関係があり、死亡率を約50％も増加させるという驚くべきデータもあります。これらの問題意識から、積水ハウスと東京大学情報学環は、ライフスタイルのあり方を再考する必要があると結論付けました。

ソーシャルライフの実現に向けた場づくり

「ソーシャルライフ」を実現するためには、特別な「場」の構築が必要です。研究チームは、プライベートとパブリック、デザイン志向と社会志向という2つの軸から4つの場を定義しました。それは、

1. 住まいなどのプライベート空間
2. 市民活動やソーシャルビジネスが展開する空間
3. 都市計画などを通じて形成される公共空間
4. 政府や行政が担う公的システムの空間

これらの場で行われている多様な取り組みをフィールドワークを通じて調査する予定です。

研究成果の共有

この共同研究の成果は、2026年3月の最終報告を目指してさらに深化される予定です。先日実施された共同研究報告会では、東京大学の特任教授である佐倉統氏が進化論から見た「ソーシャルライフ」の重要性について講演しました。彼は人間社会には「利他行動」があり、信頼を基盤とした協力によって社会が成り立つと説いています。また、社会デザインの観点から中村陽一教授が「ソーシャルライフ」を社会を変えていく力を持つライフスタイルと位置付け、関係性を編み直すことが幸福を実現すると指摘しました。

コミュニティの重要性

調査の結果、戸建て住宅に住む人々の中で「コミュニティや人とのつながり」を重視する人は4人に1人とのデータも示されています。立地条件や自然環境といったハードな要素だけでなく、人とのつながりといったソフトな要素も大切にされていることが明らかになりました。

社会貢献への意欲とその障壁

また、社会参加への意欲を示すデータも出ており、興味があっても行動に移すにはきっかけが必要とされています。他者への手助けや社会貢献などの意欲は高いものの、それを促すための環境づくりが重要だということが浮き彫りになりました。これによって、新たなライフスタイルを提案する「ソーシャルライフ」に対して高い共感が寄せられています。

まとめ

これからも、積水ハウスと東京大学情報学環は「人と人、人と社会をつなぐ住まいづくり」をさらに進化させていくことでしょう。人生100年時代に適応した新たなライフスタイルが、地域における場づくりに貢献することが期待されています。現代社会のさまざまな課題に対して、持続可能で包摂的な未来を共創するための取り組みが進化することを願ってやみません。