強風予測システム
2025-01-24 10:35:35

大阪ガスとJR西日本の連携で実現した高精度強風予測システムの全貌

強風予測の新たな取り組み



近年、異常気象の影響で鉄道運行も影響を受けることが多く、効率的かつ安全な運行が求められています。そんな中、大阪ガス株式会社と西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)は、特有の風が吹く湖西線において、強風予測のためのシステムを共同開発しました。このシステムは、AI技術を活用し、従来よりも高精度で強風を予測できる点が特徴です。

共同開発の背景



湖西線は、琵琶湖の北西部に位置し、比良山系から吹き下ろす「比良おろし」と呼ばれる風の影響を受けやすい地域です。このため、強風により運転取り止めなどが発生すると、途中駅での長時間の立ち往生につながるため、運行の安全性が非常に重要とされています。JR西日本では、これまでも気象予測をモニタリングして特急サンダーバードの迂回運転などを実施していましたが、しばしば強風が予測されても実際には風が弱い「空振り」が多く見られ、予測精度の向上が大きな課題でした。

このような背景から、2019年に大阪ガスとJR西日本が共同で強風予測のプロジェクトを開始し、AI技術と気象データを融合させて新しいシステムを開発することになりました。

高精度予測の仕組み



新システムは、大阪ガスが有する高解像度の気象予測データと、JR西日本が開発したAIモデルを統合しています。このシステムでは、24時間先までの風速や風向きを予測することができ、特に湖西線沿線の局地的な風況を高い精度で把握することが可能です。この精度の向上により、事前に運行計画を適切に判断できるようになり、「空振り」を減少させることで特急や普通列車の運行の無駄をできるだけなくす狙いがあります。

試験導入期間の成果



試験導入されていた期間中のデータを分析した結果、従来の手法と比較して「空振り」の発生割合が約40%改善されることが確認されました。この改善によって、特急サンダーバードが不必要に迂回運転をするリスクが削減され、時間やコストの削減に貢献しています。また、近江舞子駅から近江塩津駅にかけて、より詳細な強風予測が技術の進展により実現し、普通列車の運転区間が延長可能となる見込みです。

大阪ガスの今後の取り組み



大阪ガスでは、気象予測技術のさらなる向上を目指し、様々な業務に活用しています。2008年に開始した研究以降、2018年には気象庁から気象予報業務の許可を取得し、社外への予測結果提供体制を整備しました。最近では、関西万博の建設現場においても実証実験を重ねており、今後もその活動を広げていく予定です。

このような新たな強風予測システムの導入により、大阪ガスとJR西日本は安全で快適な鉄道運行を支えるための取り組みをさらに進めていくでしょう。今後の展開から目が離せません。


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