大阪の伝説をつくる双子の挑戦
2025年2月20日、東京の大手町で行われたアトツギ甲子園決勝大会に、大阪府代表として出場した有限会社電研の桐島豊さんと誠さんの双子兄弟が、アルミの表面処理技術「アルマイト」に関する熱いプレゼンテーションを展開しました。彼らは家業であるアルマイト工場を継承し、最新の技術を駆使して地域を越えた挑戦を試みています。
「父から受け継いだ技術に感謝」
桐島豊さんは、参加のきっかけを振り返ります。「私は9か月前にスタートアップ企業を退職し、家業に戻ってきました。最初は家業を知るために参加したのですが、この大会を通じて私たちの技術の魅力に気づきました。」と語る豊さん。受け継がれた技術に誇りを持ちながらも、彼は新たな挑戦を恐れず、前進していく姿勢を示しています。
また、兄の誠さんも同様に、この大会を通じて新しい仲間たちと出会い、同じ志を共有できたことが大きな刺激になったと明かします。「控室で意気投合し、一緒に苦しみや喜びを共有しました。」と話す彼の表情には、仲間とのつながりがもたらす力強さがあります。
アトツギ甲子園とは?
アトツギ甲子園は、経済産業省中小企業庁が主催する全国規模のビジネスコンテストであり、事業継承を控える若手後継者が新たなビジネスアイデアを発表する場です。本大会には全国から189名の後継者が参加し、地方予選を勝ち抜いたファイナリスト18名が最終審査に進出しました。
桐島豊さんのプレゼンテーションのタイトルは「町工場の技術が世界へ輝く アルマイトブラザーズの挑戦」。独自のアルマイト技術を用いた事業のビジョンを語り、聴衆の心を捉えることに成功しました。しかし、惜しくも受賞には至りませんでした。
技術の重要性と未来への展望
豊さんは、「アルマイト」という技術をもっと多くの人に知ってもらうことができて嬉しいと語ります。また、地域の製造業の重要性についても触れ、「町工場の技術を失うことは、日本の損失だと考えています。今後も自社だけでなく地域の方々と協力し、素晴らしい製品を作っていきます。」と意気込みを見せています。
審査員たちの評価と今後の展望
大会の審査員からは、「技術の差別性が感動的である」とのコメントが寄せられ、アルマイトの可能性の広がりに期待が寄せられています。また、今後の戦略として、意匠に特化したアルマイトのアピールや、ジュラルミンにおける市場の開発が必要であることも指摘されました。
伝統と革新の融合
有限会社電研は、アルマイト処理を行う企業として65年の歴史を持ち、4代目社長の桐島張央が開発したクロムフリー電解研磨技術が業界内での地位を確立しています。現在では、自転車やバイク用パーツ、キャンプギアなど多岐にわたる製品を手がけ、小ロットの製造にも対応しています。
このように、双子の桐島兄弟は伝統技術を継承しながら、新たな挑戦を続けています。彼らの今後の活動から目が離せません。