日韓を横断する音楽家イ・ランのエッセイ集『声を出して、呼びかけて、話せばいいの』の魅力

イ・ランの新たな挑戦、エッセイ集『声を出して、呼びかけて、話せばいいの』

日韓で幅広く活躍するアーティスト、イ・ランが新しいエッセイ集『声を出して、呼びかけて、話せばいいの』を2025年9月25日に出版します。この作品は、彼女の強い個性と家族にまつわる考察を反映した内容で、読む者に深い感動を与えることでしょう。

イ・ランの多才さ

イ・ランは、ミュージシャン、エッセイスト、作家、イラストレーター、そして映像作家として多方面で精力的に活動を行っています。音楽の世界での成功はもちろんのこと、彼女の執筆活動も多くの読者の心を掴んでいます。彼女の経歴は、一筋縄ではいかないもので、高校中退後に独自の道を歩み始めました。特に、彼女の猫との絆や、家族との複雑な関係がエッセイには色濃く反映されています。

家族と歴史、そして心の叫び

今回のエッセイ集では、家族というテーマに深く切り込んでいます。イ・ランは、自身の家族に関するエピソードを交えつつ、個人的な苦悩や感情を赤裸々に語っています。「母と娘たちの狂女の歴史」という、とても痛くもあるテーマを中心に、悲しみや愛の形を探求していく様子は強烈な印象を与えます。この内容は、金原ひとみ氏をして「死にたい時、許せない時、救われたい時に何度も手に取るだろう」と言わしめるほどです。

また、「血縁という地獄」と表現される家族の絆は、彼女の作品をある意味で重く、しかし同時に生命感にあふれたものにしています。斎藤真理子さんによると、このエッセイ集には韓国社会特有の抑圧構造が色濃く反映されており、個人的な物語は政治的にも重要な意味を持つことが示されています。1960年代アメリカの学生運動やフェミニズム運動とも通じるメッセージを、イ・ランの言葉によって届けられることは、大きな意味を持つと言えるでしょう。

出版記念イベントと来日ライブツアー

本書の出版を記念して、イ・ラン×中村佑子によるトークイベントが2025年10月8日に開催されます。このイベントでは、エッセイ集の内容や創作に関する貴重なお話が聞ける機会となるでしょう。ぜひ参加して、彼女の言葉から新たな視点を得てみてはいかがでしょうか。

さらに、イ・ランは9月27日から10月3日まで来日ライブツアーを行います。音楽パートナーのチェロ奏者イ・ヘジやフェミニスト合唱団・オンニ・クワイアと共に、感情豊かなパフォーマンスを披露します。