大阪・関西万博で注目の新たな都市農業の挑戦
2025年、大阪・関西で開催される万博が未来の農業を語る場となります。気候変動や高齢化の影響で、日本の農業が危機に瀕している中、スパイスキューブ株式会社が展開する都市型農業の取り組みが注目を集めています。
スパイスキューブ株式会社とは
スパイスキューブは、大阪市浪速区に本社を置くアグリテック系のスタートアップ企業で、2018年に設立されました。「世界中どこでも農業を実現する」という理念のもと、植物工場や室内農業装置の設計・開発を行い、農業での課題解決に挑戦しています。特に、畳一畳のスペースに設置できる小型農業装置「AGROT(アグロット)」を使い、都市部での栽培を可能にします。さらに、空き家や遊休地を活用した農業サブスクリプションモデルも提案し、「手の届く場所」での農業の実現を目指しています。
万博の展示内容
スパイスキューブは、EXPO 2025 大阪・関西万博において、注目の展示を行います。3つの主要な発表により、都市の中で未来の農業がどのように根付いていくのかを実演します。触れることで、一般の方々が農業の可能性を理解するきっかけを提供し、日常の営みとしての農業を提案します。
1. JR弁天町駅構内の「Farmarium」
JR弁天町駅では、空気中のCO₂を回収する次世代型植物工場「Farmarium」を展示しています。ここでは、光合成を促進させるためにCO₂を吸収する新鮮な野菜が育てられます。育った野菜は大阪駅構内の「デリカフェキッチン大阪mido店」で味わうことができ、モーニングやパスタセットとして利用されています。この場所は万博会場への主要なアクセス点であり、多くの来場者に都市農業を届ける重要な拠点となります。
2. 大阪ヘルスケアパビリオンの「Leafus」
「ミライの食と文化ゾーン」内に展示される「Leafus」は、スパイスキューブの栽培ノウハウとアイシン高丘の金属加工技術を駆使して開発されたスタイリッシュな植物工場です。水の流れを最適化し、軽量かつ耐久性に優れたこの装置で育つ野菜は、大阪ヘルスケアパビリオン内の「PACKN-TO」で提供されています。都市近郊で育てた国産野菜の新しい地産地消の形を提案するとともに、健康的な食文化の価値を提起します。
3. 農業ができる未来の体験
「Resona Mirai Color 〜秋〜」では、商業施設やオフィスビルの中で実現できる植物工場を体験できる展示が行われます。ここでは、都市部での食料生産や循環型社会への貢献を訴えることで、訪れる人々に未来の農業の可能性を広く知ってもらえます。
農業とテクノロジーの融合
スパイスキューブの代表、須貝翼は、気候変動や農業人口の減少、空き家問題といった社会課題を解決するためには、農業を特別な仕事からみんなの暮らしの一部へと押し上げる必要があると語ります。関西万博は、その貴重な機会となります。展示を通じて、多くの人々が農業に関心を持ち、実生活に取り入れる一歩となることを期待されています。
スパイスキューブのビジョン
スパイスキューブは、農業をただの生産活動にとどまらず、地域経済の活性化や雇用創出、さらにはSDGsへの貢献を追求しています。都市の中での農業のポテンシャルを引き出すことにより、持続可能な未来を創造するビジョンを持っています。
まとめ
大阪・関西万博でのスパイスキューブの取り組みは、未来の農業がどのように「まちなか」で実現されるかを示す良い例です。気候変動や高齢化といった課題に立ち向かうために、農業とテクノロジーが一体となる新たな形を生み出し、私たちの日常に根付くことを期待できる展示が行われます。多くの人にとって、農業の新たな形を知る貴重な機会となるでしょう。