特別展「追悼 絹谷幸二」の概要
大阪の梅田スカイビルに位置する「絹谷幸二 天空美術館」では、2025年12月12日(金)から2026年6月29日(月)まで、特別展「追悼 絹谷幸二」が開催されます。本展では、2025年に逝去した著名な画家、絹谷幸二の半世紀以上にわたる画業の足跡を振り返り、彼の多彩な作品が紹介されます。
絹谷幸二の創作の特徴
絹谷幸二の作品は、古典的なアフレスコ技法やミクストメディアを駆使した、独特の表現美と鮮やかな色彩で知られています。彼の作品テーマは多岐にわたり、日本の仏像や古代神話といった伝承をユーモラスに描いたものから、自然環境の保護を訴えるものまで存在します。そのため、見る者に夢や希望を与える一方で、現実の問題についても警鐘を鳴らす内容が多く含まれています。
展示作品の見どころ
本展では、東京藝術大学での初期作品や、ヴェネツィアに留学中のアフレスコ技法を用いた作品、長野冬季五輪の公式ポスター「銀嶺の女神」、70歳で挑戦した「無著・世親」、最晩年の「彩雲渡る宝船」といった数多くの名作が一堂に集められます。1960年代から2020年代まで、10年ごとの絹谷幸二ワールドを体感できます。
作品紹介
絹谷は《蒼の間隙》(1966年)で、青のトーンを用いた人体表現を通じて無常観を描き出しました。この時期、具象と抽象のはざまを模索し始めた絹谷は、アフレスコの研究を通じて独自のスタイルを確立しました。
イタリアに留学後、彼は古典技法の現代的復興に成功し、1974年には第17回安井賞を最年少で受賞。鮮烈な色彩で充満したアフレスコ作品で独自の画風を確立しました。特に《夢・ヴェネツィア(カーレ・デッラ・マンドラ)》(1978年)は彼の代表的な作品となっています。
この時期には自然の根源をテーマにしたアフレスコの大作が注目され、色彩表現のエネルギーが爆発的に膨らみました。《NELLA SABBIA(砂の中)》(1982年)では宇宙的生命の輝きが描かれ、国際的にも評価を得ました。
社会へのアプローチとして公共施設や大学への壁画制作を行い、《銀嶺の女神》(1997年)が国内外で高く評価されました。このポスターは平和や家族といった普遍的なテーマを扱っています。
日本藝術院の会員となった絹谷は、宇宙や光の壮大な主題に取り組みます。《蒼天富嶽龍宝図》(2008年)では、富士山を象徴的なモチーフとして捉え光の表現に挑戦しました。
絹谷は東京藝術大学を退任し、2016年には自らの美術館を開館。ここでは、映像や音を駆使した空間で観覧者が「エネルギーの循環」を感じられる工夫が施されています。さらに70歳で挑戦した《無著・世親》では新たな表現を試みました。
2021年には文化勲章を受章し、最晩年作の《彩雲渡る宝船》(2025年)では願いを込めた光と色が表現されています。彼が残した温かなメッセージは人類に届くことでしょう。
美術館情報
「絹谷幸二 天空美術館」は、現代的な体験型展示を提供する美術館として、訪れる人々に新たな感動を提供しています。アートとともに豊かな時間を過ごすことのできるこの美術館は、芸術の魅力をたっぷりと堪能することができます。ぜひ、特別展「追悼 絹谷幸二」を通じて、彼の偉大な精神に触れてみてください。詳細は
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