調査の背景
2025年度の新入社員に対するフォロー満足度を測るために、ALL DIFFERENT株式会社とラーニングイノベーション総合研究所が共同で意識調査を実施しました。この調査には、全国から集められた3933人の新入社員が対象です。その目的は、内定期間中に受ける企業からの支援が、実際にどのように感じられているのかを明らかにすることです。
10月1日には多くの企業で内定式が行われ、これを契機に内定者との関係を強化する動きが始まりますが、近年では内定後も他の企業からの内定を求めて活動を続ける学生が増えています。この現状から、企業がどのように内定者へのフォローを行うべきかが求められています。
調査結果の概要
1. 入社理由
調査の結果、新入社員が入社を決めた理由の中で「志望業界だったから」という回答が最も多く、全体の37.2%に達しました。この回答は、12年連続で1位を維持しており、特に2023年度から増加傾向にあります。「仕事内容が合っていたから」との回答が20.3%、次いで「社員が魅力的だったから」が13.6%で続いています。これらの結果から、企業が魅力を生かした採用活動を行う必要性が浮き彫りになりました。
2. 入社時の心境
新入社員が入社時に感じる気持ちについても質問しました。その結果、30.7%が「不安」と回答し、これは最も多い割合です。次いで「緊張」が22.4%、そして「期待」は15.2%でした。これからの社会人生活に対する期待と緊張、それに伴う不安が入り交じる心境が示されています。
3. フォロー内容の評価
内定期間中に企業から受けたフォローについて、新入社員が最も評価した内容は「懇親会」で、4年連続で1位を獲得しています。次いで「研修」が2位、これも年々増加傾向にあります。一方、e-learningやスマホ、タブレットを用いた学習プログラムに対する関心は減少していることも明らかになりました。
4. フォローのうち「最も良かった」と感じたもの
新入社員にとって、最も良かったと感じるフォローは「懇親会」で、73.9%が満足感を示しています。それに続く「アルバイト/インターン」が67.6%、そして「研修」が57.0%、この3つの活動が新入社員の意欲を高める要素であることが分かりました。
5. 心境とフォローの関係
内定企業での研修経験者は、入社時の「期待」感が高かったものの、事務連絡だけしか受けていない層は「不安」の割合が最大でした。フォローの内容が新入社員の心境に影響を及ぼすことは明白です。
6. スキルアップへの取り組み
調査によると、新入社員が入社時に取り組んでいるスキルアップの方法で「何もしていない」と回答した割合が年々増加しており、ビジネス書を読む人も減少しています。こうした状況は、新入社員へのフォローだけでなく、企業が求めるスキルの育成においても課題として捉えられます。
まとめ
特に新入社員が感じるフォローの重要性は増しています。企業は内定者との良好な関係を築くためにフォローの充実を図る必要があり、「懇親会」や「研修」を通じて不安を軽減し、期待感を高めることが求められます。さらに、内定者の内面の成長と期待感を育むために、社会人に必要なスキルを事前に学べる機会を提供することが不可欠です。これらの取り組みが、新入社員の定着率向上に寄与することが期待されます。
内定企業への提言
企業は内定者の心境を理解し、特に人間関係の構築をサポートする機会を持つことが重要です。また、実務体験や業務の理解を図るためのプログラムを充実させ、内定期間中の充実感を与えることで、入社後の円滑なスタートを支援する必要があります。