介護施設のBCP状況調査
2024-12-17 11:28:45

介護施設のBCP策定義務化を知らぬ経営層が多数、運営への影響を再考せよ

介護施設のBCP策定義務化を知らぬ経営層が多数、運営への影響を再考せよ



序章


介護施設の経営環境がますます厳しさを増す中、2024年4月から介護施設や事業所では事業継続計画(BCP)の策定が義務化されます。この背景には、自然災害やパンデミックなど不測の事態に対応する必要性があります。NSSスマートコンサルティング株式会社が実施した調査によると、実際には多くの経営層がBCPに対する認識を欠いていることが明らかになりました。

調査の概要


今回の調査は、介護施設や事業所の経営層・管理職・危機管理部門の職員1,007名を対象に行われました。調査期間は2024年12月1日から3日、インターネット調査により実施されました。この研究を通じて、BCPの策定状況やその必要性がどのように認識されているかを探りました。

BCP策定状況


調査では、『策定済み』が39.5%、『現在策定中』が38.4%で、合計で77.9%が何らかの形でBCPに取り組んでいる一方で、10.2%は『策定する予定はない』と回答しました。この結果は、介護現場におけるBCPの重要性を強調する一方で、策定を拒否する層が一定数いる現実を浮き彫りにしています。

策定しない理由


『策定する予定はない』と答えた方に尋ねたところ、「必要性を感じていない」(27.5%)、「罰則がないから」(23.5%)、「費用がかかるから」(18.6%)が上位理由として挙げられました。災害リスクが高まる中、これらの認識は非常に危機感に欠けていると言えます。

BCP未策定による影響


BCPを策定しない場合、介護報酬が減算される可能性があることを知っているか質問したところ、84.3%がその事実を知らないと回答しました。この事実は、事業運営において大きなデメリットを招く恐れがあるため、さらなる情報提供が求められます。

策定済みの現状


一方で、BCPを策定済みの経営層に対しては、職場内での共有状況に関する質問が行われました。約90%の方が目的や重要性について「共有できている」と回答しました。また、約91%は職員への研修や訓練も実施しているという結果が得られました。

しかし、定期的な見直しや改善ができている割合は91.7%と高いものの、その具体的な内容に関しては必ずしも明確ではないという声もありました。特に、備蓄や事前周知の体制が及ぼす影響には注意が必要です。

BCPのメリット


BCPの策定には、利用者の安全確保やサービス提供の延長、地域や家族からの信頼獲得など多くのメリットが挙げられています。しかし、運用においては専門知識や外部リソースが不足するなどの課題が浮き彫りになりました。約90%が『とてもある』または『ややある』と回答し、特に人材育成や研修が求められている状況です。

結論と展望


BCPの策定が義務化されるものの、その運用においては多岐にわたる課題が存在しています。専門知識の不足や情報伝達の不全といった問題が、BCPの有効性を妨げる要因となるでしょう。運用の質を高めるためには、外部専門家の活用や地域との連携強化が求められます。これからは、BCPの義務化を契機に、介護事業のさらなる安全性向上と信頼性の確保を目指すことが重要です。


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