岡山大学の新たな腎がん治療法
岡山大学病院腎泌尿器科では、腎盂がんや尿管がんの治療において、これまでの手術方法に代わり、内視鏡とレーザーを用いた新しいアプローチが注目されています。この方法の最大の特徴は、腎臓を摘出せずにがんを治療できる点です。この「腎温存手術」は、高齢の患者や多数の合併症を抱える患者に特に適しています。
レーザー治療のメリット
従来の腎摘出手術では、がんが根治しても、その影響で透析生活を余儀なくされるケースが多く、患者の生活の質が低下することが大きな課題となっていました。しかし、今回の治療法では、最新のツリウムレーザーとホルミウムレーザーを併用し、がんの部分だけを的確に焼灼することで、腎臓を温存することに成功しています。
研究の背景
腎盂・尿管がんは、早期発見が難しく、進行すると腎臓と尿管を全て摘出することが一般的でした。しかし、これでは患者の腎機能が著しく損なわれ、透析が必要な状況に陥る可能性が高まります。岡山大学の研究チームは、こうした従来の治療法に疑問を持ち、腎を温存する新たな手段を模索してきました。
この治療法は、2022年に「European Urology Focus」と「International Journal of Urology」において研究結果が発表され、国際的にも評価されています。特に、低進行リスクの患者に対する適用基準が設けられ、その適応で腎温存とがんの根治を同時に目指すことが可能となりました。
高齢者への配慮
岡山大学病院では、高齢の患者が多いことにも配慮しています。年齢だけでなく、腎機能が低下している患者に対しても、この治療法は適応可能です。腎臓が一つしかない患者においては、透析の必要がなくなり、より良好な生活が期待できるのです。
これからの展望
岡山大学の片山聡助教は、「小さな尿管がんの患者が腎臓も一緒に摘出される治療法を疑問に思い、腎を温存する治療法を開発しました。これからも腎盂・尿管がんの患者が幸せに長生きできるように活動を続けていきます」と語っています。
新たな腎温存治療法の普及が進む中、私たちの期待は高まります。今後も岡山大学はこの分野での研究を続け、さらなる成果を挙げることでしょう。この新しいアプローチが多くの患者にとって希望の光となることを願います。
お問い合わせ
詳細については、岡山大学の公式サイトを訪れるか、岡山大学病院腎泌尿器科までお問い合わせください。
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