岡山大学、研究活動の安全保障に関する新規取り決めを発表
国立大学法人岡山大学は、地域中核・特色ある研究大学としての役割をさらに強化するため、安全保障に関わる研究活動のための新しいルールを制定しました。この新しい取り決めは、2025年6月11日の教育研究評議会での審議を経て、6月26日の役員会で正式に決定されました。
研究者の自主性と組織の防護
岡山大学では、研究者の自主性を尊重する一方で、大学全体としてその活動をしっかり守るべく、従来の個別対応を見直し、一元化した体系を構築しました。具体的な取り決めは以下の5つに分かれています。
1. 防衛装備庁からの資金調達に関する審査
研究者が防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」に基づいて資金を申請する際には、事前に学内の審査を受けることが求められます。
2. 海外資金の取り扱い
外国の軍事組織や関連機関からの競争的資金に関しても、事前の学内審査が適用されます。これにより、研究資金の透明性が確保されます。
3. 学術発表の場への通知義務
国内外の軍事・実力組織からの学術発表については、事前に情報を大学に通知し、必要に応じて再考を求めることが義務づけられています。この措置により、研究活動が適切に管理されます。
4. 海外からの受け入れに関する確認事項
海外からの研究者、教員、留学生については、事前に国籍や所属などの詳細を確認し、経済安全保障に関連するリスクがあれば、受け入れの再考が求められる体制となります。また、彼らが大学を離れる際には、安全保障関連の規制に違反しないよう誓約書が必要です。
5. 共同研究の管理
共同研究についても、事前に学内審査を経て締結されることが決まっています。このルールにより、研究の透明性が高まると同時に、不適切な関与を避けることが期待されています。
安全保障の視点を重視した大学運営
岡山大学の佐藤法仁副理事(研究・産学共創総括担当)は、世界情勢が急速に変化する中で、研究者の活動を守るために、本取り決めを一元化し、大学全体で支援する体制を強化したことに意義を示しました。今後も、研究活動の深化を図りつつ、安全保障の視点を取り入れた大学経営を進めることを目指しています。
今後の取り組み
岡山大学は、地域と社会に貢献する研究大学として、安全保障に関連する適切な研究活動が行われる環境を整えることで、地域中核・特色ある大学としての役割を果たしていきます。この取り決めを通じて、研究者が安全に自由に独自の発見を促進できる環境を築き上げることが期待されています。特に、研究インテグリティを重視し、教育と研究における健全性を保つことが今後の大きな課題です。
岡山大学は引き続き、英国の「デュー・ディリジェンス」やその他のリスク管理の原則を適用し、より良い研究環境の構築を目指すと共に、持続可能な開発目標(SDGs)の推進にも貢献していく意向です。地域と地球の未来を共創することが岡山大学の目指すべき方向性であり、その実現に向けた具体的な取り組みは、今後も続いていくでしょう。