マンガ市場の20年
2025-07-17 10:39:10

電子コミックの歴史と未来のトレンド、20年の軌跡を探る

電子コミックの歴史と未来のトレンド



はじめに


大阪のNTTソルマーレ株式会社が運営する「コミックシーモア」は、今年で20周年を迎えた。これを機に、京都国際マンガミュージアムの学芸員・倉持佳代子氏の監修により、過去20年間のマンガ市場の変遷を振り返ると共に、今後のトレンドを考察する。社内で蓄積されたデータを元に、消費者嗜好の変化や新たな人気ジャンルを解き明かしていこう。

1. コミックシーモアの20年の歩み



ガラケー時代(2004~2013年)


最初の10年間は、ガラケーが電子コミックの主流であり、特に官能や愛憎劇を描いた作品が多く読まれていた。人気作の『まんがグリム童話 金瓶梅』は、当時における人気の象徴だ。ガラケーでの読書スタイルは、周囲を気にせずマンガの世界に没入できる環境を提供することで、電子コミックの普及につながった。また、当時はマーケット全体が大きな転換期に差し掛かっており、マンガ雑誌の販売が減少する一方で、電子コミックが急成長を遂げていく様子が見られた。

スマートフォンの普及(2013年~)


次に、スマートフォンが登場すると、電子コミックはさらに多様化していく。多くの読者がスマートフォンを介してアクセスできるようになったことで、マンガジャンルが拡大し、デジタル特有の体験が浸透。アニメや映画のヒット作が電子コミックでも読まれるようになり、大衆化が進んだ。この時期は、新たにボーンデジタル作品が生まれ、スマートフォン用に最適化されたフォーマットも多く登場。読者層の拡大とともに、異なる表現方法が幅を利かせる時代がやってきた。

コロナ禍・アフターコロナ(2020年~)


コロナ禍では、外出自粛により電子コミックの利用が急増。特に『鬼滅の刃』の人気から、デジタル市場が急激に拡大した。コミックシーモアの売上は、前年比約250%の伸びを見せ、多様なジャンルが読者の支持を集める。SNSとの連携によって、読者同士のコミュニティも活性化し、より多彩なジャンルが登場することとなった。

2. 次世代のトレンド予測



自立したヒロインが主演するロマンス・ファンタジー


2023年からは、自立した女性のヒロインが主役のロマンス・ファンタジーがトレンドとして確立されつつある。特に30代以下の読者に人気を集めるこのジャンルは、明確な価値観の変化を反映している。

夫婦問題・復讐ドラマ


夫婦のトラブルや復讐をテーマにした作品も人気を集め、現実に寄り添った内容が読者の共感を得ている。特に女性の視点から描かれることで、「スカッと」できる爽快感がSNSでも話題に。この流れは今後も続くと予想される。

社会的制裁をテーマにした青年復讐もの


言葉や証拠を使って社会的制裁を加えるスマート復讐が、新たな人気ジャンルとして注目されている。過去のいじめやパワハラをテーマにした作品は、現代の読者から支持され、特にSNS時代に合った作風が求められているようだ。

3. 未来への展望


日本のマンガ市場は、20年間で大きな変貌を遂げ、AI技術によるマンガ制作の変化も予想される中、世界各国のマンガ家たちとの競争も増していく。京都国際マンガミュージアムでの訪問者増加は、海外からの関心が高まっている証拠だ。

おわりに


20年を振り返る中で、マンガが常に時代と共に進化してきたことを実感する。未来のマンガ市場も、進化を続けながら、読者の期待に応えていくことだろう。


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