外国人留学生の日本語能力と就職支援に関する調査
近年、日本では外国人留学生の数が増加し、国際化が進展しています。しかし、彼らが日本企業で活躍するためには、十分な日本語能力が求められます。本記事では、行知学園株式会社が行った「外国人留学生の日本語能力と就職」に関する調査結果を紹介し、教育現場が感じる課題や支援の必要性について考察します。
調査概要
本調査は2025年7月11日から15日にかけて実施され、865名の大学教授・准教授、大学職員、専門学校の教員・職員を対象に行われました。この調査では、外国人留学生が就職活動を行う上で必要とされる日本語能力について、どのような認識があるのかを明らかにしました。
日本語能力に関する認識
調査結果によると、大学や専門学校入学時に必要な日本語能力と就職活動時に求められる能力は異なると感じている教育関係者が圧倒的に多いことが分かりました。44.1%は「明確に異なる」、51.9%は「ある程度異なる」と回答しています。このことから、学問に必要な日本語能力と、職場で必要な能力は質的に異なるとされていることが明らかになりました。
大学入学時と就活時での日本語能力の違い
具体的には、授業の理解やレポート作成に必要な文法的・読解的能力が重視される一方で、就職活動では面接時の応答力やビジネスマナーが必要になります。外国人留学生は入学時に必要な基本的な日本語を身につけているものの、企業で求められる日本語能力にはギャップが存在することが浮き彫りになっています。
なぜ必要な能力が異なるのか
主な意見としては、「授業についていくための語学力と自分を表現するための能力は異なる」「実践的なものと形式的なもので差がある」「より高度なレベルでの聞き取りや会話が必要」などが挙げられました。特に企業でのコミュニケーション能力が重要視されており、学問の場で学ぶ日本語とは異なる実践能力の必要性が強調されています。
就活に必要な実践的な日本語能力
調査では、外国人留学生が就職活動に対し、どのような日本語能力を強化するべきかについても意見が集まりました。最も多かったのは「グループワークやディスカッションの経験」で、次いで「インターンシップ等の実践機会」が続きます。これは、留学生が語学力だけではなく、実際の職場で求められる発信力や対応力も養う必要性を示しています。
外部の日本語教育機関への期待
調査の結果、約9割の教育関係者が外国人留学生に対し、日本での就職に特化した外部の日本語教育機関の利用を推奨しています。特に「ビジネス場面での表現」や「就職活動に必要な日本語の指導」、「会話力の強化」が求められるとの意見が多く寄せられました。これにより、留学生が日本社会で活躍するために必要なスキルを実践的に習得できる環境を整えることが重要視されています。
まとめ
外国人留学生が日本企業で職を得るためには、高い日本語能力と実践力が必要です。本調査を通じて、教育現場が感じる課題や外国人留学生が受けるべき支援の重要性が明らかになりました。語学教育にとどまらず、実務的な経験を積む機会を提供することが、彼らの職業的自立に向けた大きな鍵となるでしょう。今後の支援体制の構築と、外部の日本語教育機関との連携が求められています。