沖縄三線文化継承プロジェクトの進展
2025年6月26日、ヤマハ株式会社が参加する「沖縄三線文化継承プロジェクト―技術貢献と共創―」が、公益社団法人企業メセナ協議会から「This is MECENAT 2025」に認定されました。このプロジェクトは、沖縄の伝統楽器である三線の文化を次世代に継承することを目指し、琉球大学や沖縄県立芸術大学、沖縄県立博物館・美術館などとともに取り組んでいます。
プロジェクトの背景と目的
沖縄三線は、沖縄の文化を象徴する重要な楽器ですが、その製作や流通には多くの課題が存在します。例えば、安価な海外製品が三線市場の約70%を占めており、このことが地元職人による製作の継承に深刻な影響を与えています。また、三線の材料である黒檀が枯渇していることも、文化継承の妨げとなっています。
このような現状を受けて、三線組合が中心となり科学的な視点で三線の特性を解明し、文化を守り抜くためのプロジェクトが始まりました。ヤマハはその活動に共感し、楽器や感性研究の技術提供を行うこととなりました。
2025年度の活動計画
当プロジェクトは、単なる研究にとどまらず、得られた成果を社会に実装することも重視しています。2025年度の主な活動として以下の2つのテーマに注力します。
1. 新素材での三線パーツ製作
ヤマハの技術を駆使して、新素材による三線パーツの試作を予定しています。この取り組みは、素材の枯渇問題へのアプローチだけでなく、職人技能の伝承や後継者育成にも寄与します。
2. レクチャーコンサートの開催
2026年3月には、当プロジェクトの取り組みや三線の魅力を広めるためのレクチャーコンサートを開催する予定です。琉球伝統文化を現代に伝えるこのコンサートでは、来場者に三線の楽しさと文化の大切さを伝える貴重な機会を提供します。
これまでの取り組み
当プロジェクトでは、以下の3つの研究に取り組みました。
1.
木材の物性調査
三線製作に必要な木材の調査を行い、代替木材の確保を急務としています。音響学的な視点での分析も行い、三線に最適な材料を模索しています。
2.
三線のふるまい可視化
三線の楽器としての特性を科学的に解明し、製作技能の可視化を進めています。職人の繊細な感覚を物理的に示すことで、技術の継承を促進します。
3.
音色の表現語調査
演奏家と職人の共通認識を築くことに努力し、多様な表現語を整理しています。この調査を通じて、沖縄文化の深みを理解する手助けとなることを目指します。
未来への期待
当プロジェクトが進むことで、三線の文化が次世代に受け継がれるだけでなく、地域社会や職人の存続にも寄与することが期待されます。さまざまな文化的活動を通じて、より持続可能な社会を目指すヤマハの姿勢は、今後も多くの人々に影響を与えていくことでしょう。プロジェクトの詳細情報は、
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