はじめに
近年、ICT技術の発展により、さまざまな分野で効率化が進んでいます。その中でも、和歌山市における「アステラ(人工衛星 + AI)」を活用した漏水調査は、地域の持続可能な水道運営に向けた先進的な試みの一つです。この新しい取り組みについて、詳細をお届けします。
背景・目的
水道事業の持続可能性が問われる時代、和歌山市はその水道事業の有収率が84.0%と全国平均の89.3%を下回る状況にあります。収益の減少や維持管理費の増加が重くのしかかり、今後の維持管理に課題を抱えています。これを改善するために、漏水に特化した新しいデジタル技術を導入することを決定しました。さらには、このプロジェクトはデジタル庁が推進するアナログ規制の見直しに基づくものであり、持続可能な水道事業実現に貢献することを目指しています。
本事業の概要
本事業では、人工衛星を活用した一次調査から始まります。アステラが開発したシステムでは、衛星からLバンドと呼ばれる特別なマイクロ波を照射し、水道水に特有な電磁波反射をフィルタリングします。この方法により、漏水の疑いがある場所を特定し、POI(Point of Interest)として地図上に明示します。この調査の結果、漏水の疑いがある613箇所が特定され、その後の二次調査では従来の音聴による方法に加え、デジタル機器を用いた精密な調査を実施しました。この精密な方法により、漏水箇所の特定精度が飛躍的に向上し、従来の手法に比べ2倍以上の効率化を実現しました。
実施期間と役割分担
実施期間は2025年5月30日から2026年3月31日の約10ヶ月間で、和歌山市が運営主体として、この漏水調査をリード。また、NTT西日本はプロジェクトの企画や調整、東亜グラウト工業と東日本漏水調査がそれぞれ技術的な支援を行い、漏水確定のフィールド調査を担当しました。
本事業による効果
一次調査の結果、613箇所のPOIに対して147箇所で漏水を確認。調査の結果、令和6年度は現地漏水調査対象が1,229kmに対し、令和7年度には592kmに縮小しましたが、全管路の広範囲に効率化され、結果として多くの漏水が早期に発見されました。
今後の展望
和歌山市の今後の水道事業においては、人口減少や施設老朽化、職員不足といった課題が待ち構えています。そのため、NTT西日本は引き続き、水道DXを進め、デジタルデータを活用したリスク評価の強化を図り、防災減災の計画に役立てる考えです。さらには、和歌山市は令和15年度に有収率88.8%という高い目標を掲げており、NTT西日本はこの目標達成に向けても全力を尽くします。
まとめ
和歌山市での漏水調査は、人工衛星とAIという革新的な技術を採用した先進的な取り組みです。この事例は、他の地域にとっても持続可能な水道事業のモデルケースとなることでしょう。地域の未来を見据えた技術の導入が、地域社会を支えることに繋がるのです。