KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『未練の幽霊と怪物』
2026年2月13日、横浜のKAAT神奈川芸術劇場にて待望の新作音楽劇『未練の幽霊と怪物―「珊瑚」「円山町」―』が始まります。この作品は、同劇場のメインシーズン「虹〜RAINBOW〜」のフィナーレを飾るもので、現代演劇における言葉や身体、空間の新たな可能性を探求します。国際的に活躍する演劇作家の岡田利規が手掛けたこの作品は、2021年に上演された前作に続く第2弾です。
歴史と現代の融合
本作は、日本の伝統芸能である能をテーマにした音楽劇で、特に「夢幻能」の形式からインスパイアを受けています。能では、成仏できずにいる幽霊が主人公となり、未練や思いを語ります。今回の作品では、社会的、政治的な問題に巻き込まれた存在たちの声に焦点を当て、観客にその想いを感じてもらうことを目指しています。
二つの短編から成る本作品、第一部では埋立地に生息していた「珊瑚」をテーマにした物語、第二部では困難な状況に置かれた女性たちの物語「円山町」が描かれます。このように、現代社会における巨大な構造の中で与えられた影響を浮き彫りにし、観る人々に深い思索を促します。
本作の魅力
主役の「シテ」役にはアオイヤマダさんと小栗基裕(s**t kingz)が名を連ね、ワキには石倉来輝、七瀬恋彩、清島千楓がキャスティングされています。また、第一作から続投する片桐はいりさんが「アイ」として重要な役割を果たし、奄美出身の里アンナが謡手として参加します。彼らが織り成す言葉、動き、音楽のハーモニーは、観客を古代から未来へと誘うことでしょう。
音楽は前作に引き続き、内橋和久が手掛け、特に能楽で使用される楽器の要素を取り入れたアレンジとなっています。ダクソフォンなど現代的な楽器が使われ、能楽の持つ緊張感と高揚感が新たな息吹を吹き込まれています。
開幕に寄せて
岡田利規氏は、創作プロセスの中で丁寧にコンセプトを共有し、それを具現化するための取り組みを重ねていったと語ります。「観客にイリュージョンを見せる」という目標が達成できたことに深い満足感を得ることができたと述べています。
音楽監督の内橋氏は、能楽の持つ表現力の中に和声の要素を取り入れ、多様な印象を生み出すことを目指していると語ります。彼の音楽は、役者の演技、舞踊と絶妙に絡まり合い、観客に新しい体験をもたらすでしょう。
観劇のおすすめ
この公演は、他の演劇作品とは一線を画すユニークな体験を提供します。観客一人一人がそれぞれの解釈を持ち寄り、作品を楽しめることが、この音楽劇の真の魅力です。
公演情報
公演は2026年2月13日から3月1日まで、KAAT神奈川芸術劇場の大スタジオで行われます。岡田利規が紡ぎ出す物語と、参加する俳優たちの演技、内橋の音楽を通じて、現代社会のさまざまな問いを一緒に見つめ直してみませんか。観劇の際には公式サイトよりチケットをぜひご確認ください。