吹田市が進める持続可能な航空燃料の普及に向けた新たな取り組み
大阪府の吹田市が、持続可能な航空燃料(SAF)の普及を促進するために、コスモ石油や日揮ホールディングス、レボインターナショナル、SAFFAIRE SKY ENERGYと連携協定を締結しました。この協定は、使用済み食用油をSAFの原料として活用することを目的としており、地域全体での脱炭素社会の実現を目指しています。
合意の背景と目的
最近の環境問題の高まりを受け、吹田市では多くの市民が参加しやすいリサイクルシステムの構築に力を入れています。特に廃食用油の適切な処理と再資源化は、持続可能な社会づくりにおいて重要な役割を果たします。吹田市が提供する廃食用油は、年間で約27,000リットルと見込まれており、全国の自治体でも最大規模となります。
廃食用油のリサイクルへの取り組み
吹田市では、公共施設に廃食用油の回収拠点を設置し、行政回収に取り組んできました。廃食用油はそのまま廃棄されることが多いですが、これを再利用することで市民は自分たちの手で脱炭素活動に貢献できることを実感できるのです。協定に基づく各関係者の積極的な連携は、持続可能な循環型社会への一歩となります。
具体的な取り組み内容
協定では、廃食用油の回収とSAFの製造に関する活動が中心となります。吹田市内の公共施設で集められた廃食用油は、レボインターナショナルが収集し、SAFFAIRE SKY ENERGYのプラントでSAFの原料として資源化されます。また、市内にある市立小学校や保育園から出る廃食用油も再利用されます。
地域と市民の参加を促す活動
さらに、市民への周知活動も重要です。廃食用油を持参した市民には、抽選で吹田市のイメージキャラクター「すいたんグッズ」を提供したり、SAF製造設備見学会への招待を行う予定です。このような取り組みを通じて、市民一人一人が脱炭素化への意識を高め、実践する機会を提供していきます。
SAF(持続可能な航空燃料)について
SAFは、使用済みの食用油やバイオマスを原料とした持続可能な航空燃料であり、従来の航空燃料との相乗効果を持ちつつ、約84%のCO2排出削減が可能です。この技術は、航空機の給油設備を変更することなく利用できるため、現実的な選択肢として広く注目されています。国土交通省の推進する「空のカーボンニュートラル」にも寄与することから、航空業界でも導入が期待されています。
日本初のSAF大規模生産事業
コスモ石油、日揮HD、レボインターナショナルは、2022年に新会社SAFFAIRE SKY ENERGYを設立し、廃食用油の収集からSAFの製造までのサプライチェーンを構築中です。2024年12月には、大阪府内のコスモ石油堺製油所にSAF製造装置が完成し、2035年のカーボンニュートラル目標に向けた重要な施策となるでしょう。
このように吹田市が導入する持続可能な航空燃料の普及は、地域の資源循環型社会の実現に向けた重要なステップであり、今後の展開にも注目が集まります。