新型避雷針『避雷ドーム』の導入をめぐる背景
エイトレント株式会社が新型避雷針『避雷ドーム』をインドネシアに初めて導入した。インドネシアは赤道直下に位置するため、年間を通じて雷の発生頻度が高い国として知られており、落雷被害は多くの施設や産業活動に深刻な影響を与えている。この新製品は、従来の避雷針とは異なり、「落雷を抑制する」という革新的な機構を持っており、今後のインフラ構築や地域社会の安全性向上に大きな役割を果たすことが期待されている。
本製品は、株式会社落雷抑制システムズによって開発・製造され、エイトレントが唯一の正規レンタル・販売代理店として提供している。特に、インドネシアの西ジャワ州に新設された建機整備工場に設置されることが決まり、この導入は日本貿易振興機構(JETRO)の支援を受けつつ、落雷による社会的問題を解決する成果として注目されている。
インドネシアの雷による社会課題
インドネシアは、その地形や気候から世界有数の雷多発地域で、一年を通じて落雷が非常に多い。そのため、送電や通信設備への落雷リスクは常に高く、停電や設備損傷を引き起こし、地域住民の生活や産業活動に深刻な影響を及ぼす。
従来の避雷針が抱える問題として、「雷サージ」や「雷ミスリード」が挙げられる。これらは、落雷を避雷針に誘導することができず、周辺施設に被害を与える可能性があることを意味する。新型の『避雷ドーム』は、こうした課題に対する答えとして設計されている。
逆転の発想『避雷ドーム』の仕組み
『避雷ドーム』が注目される理由の一つに、雷の発生を抑制するという逆転の発想がある。従来の避雷針は雷を誘発させる仕組みを持つが、避雷ドームはその逆を行う。丸い電極とキャパシタ構造により、「お迎え放電」を抑制し、雷雲と地面が結びつく経路を作らない。これにより、そもそも落雷を発生させにくい仕組みとなっている。
さらに『避雷ドーム』には、製品の信頼性を高めるためのいくつかの特徴がある。まず、電源不要で、地面に誘起された電荷を使用して落雷を抑えることができるため、設置後も維持コストが非常に低い。また、700cmの高さに設置すれば、最大半径100mをカバーすることができ、既存の避雷針とのリプレイスも容易に行える。
インドネシアにおける導入の意義
今回の導入先は、インドネシアの現地法人が管理する屋外駐車場と整備工場であり、周辺では過去に多くの雷被害が発生していた。このため、高度な落雷対策が必要とされていた。また、日本からの国際輸送を経て、約2週間で現地に設置を完了したという迅速な対応も評価されている。
導入によって期待されるメリットには、停電や通信障害のリスクを低減し、高価な機器を保護することによるコスト削減、現地スタッフの心理的負担の軽減が含まれる。このような成果が、地域社会におけるエイトレントの信頼性向上やブランド価値の向上に寄与することが期待される。
今後の展望と社長のコメント
今回のインドネシア初の導入は、成功の第一歩と位置づけており、今後も事業展開を加速させる計画だ。特に、ジャカルタやスラバヤといった大都市圏での拡大を目指している。
エイトレント株式会社の井谷代表は、「雷を抑制する」避雷針としての技術が、インドネシアの社会課題解決に寄与することを嬉しく思うと話している。このプロジェクトは、エイトレントだけでなく、協力企業やJETROのサポートによって可能となったことが強調され、お互いの力を合わせて安心安全な社会の実現に向けた取り組みを続けていく決意が伝えられた。